第70話 『匠たより』
『匠』とは母の通っている施設の名称である。毎月、請求書と一緒に『匠たより』が送られてくる。『匠たより』とは時々行われる施設内のイベントやリクレーション等と共に利用者さんの施設での様子を収めた数々のコメント入りの写真がカラーで裏表に印刷されたA3サイズのたよりである。毎月、母が何処に写っているか探しながら施設での様子を窺う事ができ、私はこれをとても楽しみにしている。
毎月、その月の誕生日の利用者さんは誕生日プレゼントや色紙などと一緒ににこやかに写真に写りクローズアップされている。『匠たより』が届くと母と一緒に見ながら「こんな事があったんじゃね」とか『○○さん、何歳になっちゃったんだね』とか話が弾む。「すずちゃん、どこに写ってるかね」なんて言いながら探したりする。
毎日通ってるわけではないのでたまには写っていない月もあるが、もしも家にずっといたら写真なんか頻繁に撮る事もないなと思うのでこのたよりは有難い事だと思っている。利用し始めてからずっとファイルに綴っていてそのファイルも5冊目となった。
これからもずっとこのファイルが増え続ける事を願っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます