第133話 母、フェアリー(陽性)になる
十二月十三日の夜八時頃、施設から電話が鳴った。
施設から夜かかることがないので、不安がよぎる。
電話の内容は
施設の職員さんと利用者さんがコロナ感染した事。
その関係で母もPCR検査をしたところ、陽性との事。
今のところ、母には症状はないとの事。
一応の現状報告との事だった。
電話を切った後、急に心がざわついてきた。
今は症状がないとの事だが、高齢なので今後、どう変わるかわからない。
目に見えないだけに不安が募る。
しかも、職員さんも感染してるということは、施設内もバタバタとして大変ではなかろうかと推測する。
大事に至らないことを祈るばかりである。
今月は施設の恒例行事の八朔狩りが1週間かけて、少人数で家族ぐるみで行われる予定だった。
ところが、11月中旬頃からわが地区はコロナ禍が収まるどころか広がりつつあったので、今月の最初に、家族同伴は中止にすると連絡があった。
母と八朔狩りが出来ると、とても楽しみにしていただけにガッカリしたが、猛威を振るうコロナ禍には逆らえない。
しかし、利用者さんは職員さんと共に八朔狩りは実行される予定だった。
せめて、母だけでも参加出来て気分転換が出来ればと思っていたが、施設内でコロナ感染者が出た為、これらも中止となった。
最近の母は、足腰の痛みもだいぶ和らぎ、普通の車椅子で、ホールで過ごしていると聞いていたので安心していた。
痛みが和らいできたことで自分の足で、多少は歩くことも出来るようになったようだ。
ただ、食事の時は周りが気になるのか集中して食べることが出来ず、職員さんに介助してもらい完食出来ているようだ。
徐々にではあるが、寝ている時間が長かった頃と比べると、痛みが和らぎホールに出てみんなと過ごせるようになったことで幾分安心していたところだった。
今月の最初に届いた、「匠たより」では、日頃の様子が色々載っていた。
5回目のワクチン接種、消防訓練、みんなで作った干し柿を食べてる様子、誕生日会、パンケーキパーティーの様子も載っていて、母を含めみんな幸せそうな顔で写っておられた。
施設の色々な工夫を凝らした行事に感謝でいっぱいである。
そんな風な施設の行事や、母の調子も少しづつ良くなってきた様子に喜んでいた矢先のコロナ陽性の連絡だった。
一夜明けた現在の母の様子を聞いたところ、変わりなく元気で過ごしているようだ。
このまま、症状が出ず落ち着いていてくれることを祈っている。
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