第150話 母、皮膚科受診する

 母は今年の二月頃から、入れ歯を装着することを嫌がるようになった為、食事は入れ歯なしで摂っている。

母は自分の歯は1本しかなくてほぼ総入れ歯である。

その為普通食は噛むことが難しくなったので今はミキサー食で対応してもらっている。

普通食が採れないのは残念だけど致し方ない。

しかも自力での食事も難しくなっている為、食事介助をしてもらっている。

食事をすること自体も分からなくなってきているようだ。


 歩行も不安定なので母がベッドで寝ている時はベッドの足元にセンサーマットが敷いてありベッドから降りたら転倒予防の為、職員さんにすぐ分かるようになっている。

しかし、立ち上がってすぐにバランスを崩してしまうことも多く職員が駆けつけた時はすでに転倒していたこともあったようだ。

それで、三月に入ってから母が足腰の痛みを訴えるようになったので、骨には異常はなかったようだが、ベッドで横になる時間を増やして痛み止めで様子を見て下さっていた。

そんな経緯でベッドで横になっている時間が長かった為か、右足の踵とお尻に褥瘡じょくそうができてしまった。

特に右足の踵の褥瘡がかなり酷いようで地元の総合病院の皮膚科を受診をすることになった。


 総合病院の受診は基本家族対応なので、職員さんが母を病院まで連れてきて下さり私も同席した。(三月十八日)

総合病院は、兎に角初診は待ち時間が長いので、大変だ。

それを短縮する為、その総合病院は朝七時半から受付を開始するので、受診する朝の七時二十分頃には病院に出向いて行き、診察カードを通す機械に診察カードを通しに行った。

おかげで皮膚科の受付は一番だった。

一旦家に帰り改めて、八時半頃に改めて病院に行った。

母も職員さんに連れられて車椅子でやって来た。

実は母とは面会で二日前には会っていた。

が、もちろん母は覚えているはずもなかった。

職員さんには一番に受付できたことを伝えて待っていると、一番に呼ばれるかと思っていたら大間違いで予約の方が優先だった。

事前に渡された紙に今日の受診の内容を職員さんが書いてくださり待っていると九時十分頃には名前を呼ばれた。

診察室に入ると、母を見てすぐに「ベッドに横になってもらってから診察したいのでベッドが空くまで待ってください」と言われすぐに待合室に戻されてしまった。

それからが長かった。

三十分経っても呼ばれないので、受付の人に、「まだベッドが空きませんか?」と尋ねたら「ごめんなさいね。もう少し待ってください」と言われてしまった。

その間に何人かの人は受診を済ませて帰っていかれた。

結局、それから名前を呼ばれたのは十時前だった。

診察室に入って、母がベッドに横になるのは、自分ではできないので、職員さんと看護師さんが二人がかりで移動して下さった。

母は何をされるのかと身体をこわばらせて抵抗するので、私は母の手を握って「大丈夫よ、傷を診てもらおうね」と嫌がる母に声掛けしなだめながら、診てもらった。

右足のかかとの褥瘡は、皮がペロリと剥けて赤紫になっていて目を背けたくなるほどかなり酷いものだった。

お尻はそこまでではなかったのでお尻だけでも早く治ってほしいと思った。

傷につける塗り薬(二週間分くらい)を処方してもらい、泡消毒して薬を塗りガーゼで保護して様子を見て欲しいとのこと。

それでも改善が見られないなら再度受診して欲しいと言われた。

職員さんが受診後の手続きをして下さっている間に当面使う泡消毒液とガーゼを購入して、渡しておいた。

ベッドも褥瘡予防のマットに変更して様子を見て下さるとのこと。

病院の玄関で母とは別れた。

全てが終わったら十時半頃になっていた。


 朝早く行って受付を済ませてもこの時間かと一瞬不満に思ったが、いつもは母の面会時間は十五分と制限されているのに、今日は約二時間一緒にいて、手もずっと握っていたし、職員さんから日頃の母の様子も聞けたので、まぁいっかと思いなおしこれも母と過ごせる貴重な時間だと思った。

あとは職員さんにお願いして、母の褥瘡が一日も早く治ることを祈るのみである。

改めて職員さんには感謝である。


近況ノートに、母の介護が始まったばかりの頃に、塗っていた塗り絵の画像があります。(八十六才~八十八才頃の作品)

https://kakuyomu.jp/users/cocopin/news/16818093074635635175


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