第23話 一泊二日の入院

 それはある日突然だった。二〇十八年十二月二十八日、朝いつものように起こしに行くと、起き上がるのが難しそうで左手や左足に力が入らずよだれも出ている。すぐにおかしいと思ったが支えると何とか起き上がり何とか支えて台所まで歩けた。ご飯も時間がかかったが自分で食べてくれた。それでも明らかにいつもと様子が違っていたがあいにく病院が年末年始の休みに入っていた為、判断に迷い翌日まで様子を見る事にした。翌日は左足に全く力が入らず立ち上がるのも難しくなりろれつも回らなくなっていた。これはやっぱりおかしい、脳梗塞かもしれないと思った。


 いつの間にか外は雪が降り始めていた。救急車を呼ぶべきか悩みながら夕方四時頃まで様子を見ていたがこのまま夜を超すのが不安になり地元の総合病院に電話して母の様子を話してみた。すると「すぐに連れてきて下さい」と言われた。歩けないので連れて行くのが難しい事を伝えると「救急車を呼んで来て下さい。待っています」との事だった。すぐに一一九番に電話して来て頂いた。病院に着くとすぐCT検査が行われたが異常がないとの事だった。只、「血圧が高く脱水症状も見られるので点滴をして様子を見ましょう」と言われた。母は点滴をしてもらうと症状は少し落ち着いてきていた。言葉も少ししゃべれるようになってきていた。


 最初、入院して様子を見ると言われていたが「年末なので点滴が終わったら家に帰った方がお母さんもいいでしょう」と言われた。時刻はもう夜の九時を回っていた。おまけに病院に来る時も雪がちらついていたが、もっと激しく降り続いていた。こんな夜にしかも雪が降り寒い中をとても家に連れて帰れない。車も家まで行かないので駐車場から歩かなければならないのだ。まだしっかり歩ける訳でもないのに。先生の無神経さに驚いた。きっと年末年始で受け入れるのが面倒くさかったに違いない。

 私は一晩だけでも入院させてもらうようお願した。何とか受け入れてもらえたがここからが又、時間がかかった。今度は入院の為の説明を受けて色々な書類も書かなければならず本当に面倒くさかった。きっと病院側もこうした手続きが大変なので早く帰したかったのだろう。それから病室の準備が出来るまでも時間がかかり結局家に帰ったのは十二時を回っていた。


 翌朝、九時前に病院に行くと母は昨日より落ち着いて見えた。まだ左側の力は弱いようだったが朝ご飯は自分で食べられたようだ。先生からは「今、院内でインフルエンザが流行っていてお母さんは体力が弱っているので感染したら大変なので家に帰られた方がいいでしょう」と言われた。まだ調子が戻ってない母を連れて帰るのは不安だったがインフルエンザに感染したらそれこそ大変と思いやむなく家に連れて帰る事にした。十二月二十九日から三十日の一泊二日の入院だった。

 駐車場から家まで離れている為、車から降ろしてから支えながらやっとの思いで家まで連れて帰った。まだ左側に力が入らず何をするにも介助が必要だった。

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