概要
再び命を吹き込まれたピアノが、人間たちの心を繋いだ。
町はずれの大型ごみ処分場に家具を処分に行こうとしたピアノ調律師の博也は、大きなグランドピアノを処分しようとしていた男性と出くわした。ピアノはまだ十分弾けそうだと判断した博也は男性を説得し、危うく処分される所だったピアノを引き取った。博也は自らの手で引き取ったピアノに再び活躍の場を与えようと模索していた時、見つけた場所とは……。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!美しい音楽と共に人生に向き合う人々の真摯な姿を描いた、素晴らしい物語。
一台のピアノと触れ合ったさまざまな人の人生が、その時々の心情に合わせた楽曲とともに丁寧に綴られる、心温まる物語です。
都会のマンションに住む男性、西岡博也。彼はピアノの調律を仕事にしています。博也は、ある日トラックに積まれ捨てられそうになっていたピアノを不憫に思い、そのピアノをなんとか救い出します。丁寧に手入れをし、調律されたピアノは、博也のマンションのロビーに置かれることになります。
ロビーのピアノと関わり、音楽を楽しむマンションの住人たち。彼ら一人ひとりの人生が、丁寧に、細やかに描き出されていきます。そこにあるのは幸福感だけでなく、孤独や悲しみ、恨み、後悔、生きる上で避けられないさまざま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ピアノは生きている。そう改めて思わされます。
私自身ピアノを幼い頃から弾いていたこともあって、とても楽しくこの作品を読ませていただきました。
小さい頃、母が贔屓にしていたピアノの調律師さんが「ピアノは生き物だからね」と良くおっしゃっていたのですが、その言葉をまた改めて思い出しました。ピアノって大切に扱えば扱うほど、その気持ちに応えるようにものすごくいい音色が出るものだと思うので。
きっと主人公にそんなピアノに対する想いや愛があったからこそ、主人公の直したピアノに触れた人達の心が、そのピアノによって暖かくなったり、凍えた心が溶けていったのかな、と思いました。
また、どんな人達にも、様々な悩みがあり、また、心の支えになるものがある。そ…続きを読む