ストレスチェック制度でスルーされる

 ストレスチェック制度と言う物があります。

 厚生労働省が企業に対して義務付けた、労働者のメンタルヘルス把握の為のテストです。

 これは、前職A社でも例外なく実施され、当然ながら私も受けました。

 この頃すでに、身体に自覚症状が出るような状態だったので、当然と言うか自明と言うか、要カウンセリングの判定が下りました。

 ストレスチェックの結果は本人にのみ返され、第三者が断りなく覗く事は出来ません。

 要カウンセリングと判定された場合、本人が“任意で”所属する会社の総務等に申告し、各地域の医療機関でカウンセリングを受ける事になります。

 A社での仕事は二交代制で、日勤班と夜勤班が毎週交代する仕組みとなっていました。

 この理由では有給も取りづらいため、私は夜勤週の日中を利用してカウンセリングを受ける事にしました。

 その機関では、基本的に私から状況を説明するのみに留まりました。

 カウンセラーからは特に精神療法的な助言等も無く、会社の産業医に相談して指示を仰ぐように言われました。

 それに従いA社の産業医に連絡した所、私が以前通院していたB病院で診察を受けるように、更に指示されました。

 一瞬、産業医が何を言っているかわかりませんでしたが、

「通院歴のあるB病院で診察を受けて、会社に報告して指示を仰いでくださいって事を言ってるんです。言葉の意味わかります?」

 と念を押されたので、その通り、B病院へ行きました。

 

 ここで一つだけ、確実に断っておきたい事があります。

 ここでのB病院とは、前述した「私に休職をすすめてくれたC病院の主治医」とは全くの別人です。

 C病院の主治医は、大袈裟ではなく、私にとって命の恩人です。

 だからこれだけは万に一つの誤解も無いよう伝えておきます。

 

 B病院で、以前私を診察して下さった心療内科医が再び対応して下さいました。

 その結果「B病院から、今日の診断結果をもとにA社へ私の部署異動を口添えしてもらう」という事で、その場での話はまとまりました。

 しかし、一ヶ月ほど経っても総務部からの音沙汰がないので、私から尋ねた所、

「B病院からの連絡はない」

 との事でした。

 仕方が無いので、自分で異動を希望しました。

 しかしそれに対する返答は「出来ない」との事でした。

  

 そしてその後、前述の通り症状が悪化。

 ついに自力で立つ事が出来なくなり、C病院へ。主治医からのドクターストップがかかりました。



 産業医と言うものに言及出来るほど、私に知識や経験はありません。

 しかし少なくとも、A社の産業医は、会社の不都合を医学的な見地から握りつぶす為だけの存在であったように思えてなりません。

 ストレスチェック制度にしても、果たして抑止力になっているのかは疑問です。

 確かに、労働者が会社への報告を任意で行えると言うのは、プライバシー保護やテスト結果による不利益の防止という点から無理もない事かも知れません。

 ただ、そこで自己主張が出来るような会社であれば、そもそもメンタルヘルスを損なうような事は無いのではないでしょうか。

 事実、私以外にもストレスチェックで引っ掛かり、カウンセリングをすすめられた社員は居ました。

 しかし、そのための有給休暇は認められず、夜勤週の日中を利用しろ、と突っぱねられただけでした。



  

 また若干余談になりますが、ストレスチェックを受けてから産業医に対応されるまで、まだC病院には行っていませんでした。

 B病院の対応を受けて、同市内のC病院へ鞍替えする事を決意した感じです。

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