パワハラの頻出ワード
本文の「転職が容易ではない理由」で少し触れましたが「君は他の会社に行っても同じだ」と言う言い回しに代表されるように、
パワハラ上司の言葉と言うのは、それこそ「どこへ行っても」気持ちが悪いほど似通っています。
恐らくは昭和以前から、誰が申し合わせたわけでもなくセオリーが確立されて行ったのでしょう。
パワハラ上司が生まれる背景として、その師匠も同類だったり、時代の流れで廃れていく筈の思想がそのまま継承されてしまうと言うものがあると思います。
ともあれ、私の知識では憶測しか言えないので、その辺りの言及は避けるとして。
「テンプレートで話している」と言う事は、所詮借り物の言葉であると言う事。
そうした、上辺だけを真似た論理に正当性は無い事をしっかり理解する必要があります。
私が知る限り、頻出する物言いとしては以下の通り。
「他の会社に行っても同じ」
こう言う上司は、果たして貴方の能力を全て把握しているでしょうか? 当然、現職に関係ない趣味の領域に至るまでです。
また、世の中にある全ての仕事を、実務レベルで全て把握しているでしょうか? それと貴方の能力がマッチする可能性がゼロだと言い切れるほどに。
仮に「他の会社」と言うのが現職と全く同じ業務内容だったとしても、人材の成長や性能は環境の違いで全く変動しますが……これに関しては「原因は全て貴方」と言う人種を相手にしているので考えるだけ無駄でしょうか。
私のケースでは、新卒1社目の仕事と私的に参加していたボランティア活動での経験が、現職E社の仕事とマッチしていた為に採用の決め手となりました。
この経歴はタケさんにも話した事がありますが、あくまでも触り程度でした。私以外にも相当数の部下を抱えて(同じように責め立てると言う労力を支払いながら)私のキャリアを全て理解できたとはとても思えません。
どこに行っても同じ理論が事実かどうかに関わらず、こうした発言をする人は、他人の人生を推し量れると思い上がっています。
1を聞いて10を知ったつもりになって、勘違いしているのが多数でしょう。
むしろ、部下一人一人の過去・現在・未来、および、趣味の範囲に至るまでの評価を完璧に出来る程調べ尽くすような上司が居たとしたら……むしろそっちの方が気持ち悪いくらいです。
どの道、本気で関わってはならない人物だと言う事です。
「次に行く所なんて無い」
これも、先の何処へ行っても同じ理論に通じるところがあります。
これを言う上司は果たして、現在の転職事情をどこまで把握しているのでしょうか?
少なくともハローワークや転職エージェントのような斡旋業者、人材派遣業の方と同レベルかそれ以上の情報を有していると言う事でしょうか?
おりしも現在はコロナ禍と言う、この理屈に都合の良い世情のさなかにあります。
けれど、求人の状況が必ずしも悲嘆するものでは無い事は、本文「コロナ禍と転職」の項で述べた通り。
空前絶後の感染症流行が生じたからと言って、全ての会社が業績を急落させるとは限りません。
経済と言うのはそんな単純な構造をしていませんし、むしろ、新たな需要を見出している業種すらあるくらいです。
(例えば旅行や外食が出来ない事で家にこもり、その分高価な食べ物を自宅で消費するなど)
前述のとおり、現職以外でどんな可能性を持っているかを、他人である上司が全て網羅する事は不可能です。
「これは指導だ」
貴方は、医師免許が無いのに外科手術を出来るでしょうか?
資格、とまでは行かなくとも、部下の指導と言う物には体系だった知識と適切な采配を要求されます。
とりわけ中小企業と言うのは人員が居らず、指導力の有無に関係なく「穴埋めで誰かをリーダーにしなければならない」側面はあると思います。
そんな中で、無い指導力を振り絞らなければならない立場と言うのも大変ではあるでしょう。
けれどそこで結果を出せない、また、そのリーダーに啓蒙を与えられない会社こそが責任を問われるべきです。
「自分はいじめをしている」と言いながらクラスメイトをいじめるいじめっ子は存在しません。
その子が首を吊って初めて焦り「いじりのつもりだった」と醜く弁明するのみ。
自分を犯罪者だと喧伝する犯罪者などいない。つまりは、そういう事です。
「お前は何もしていない・結果を出していない」
自分が会社との契約通りに働いているのであれば、会社が求める利益は上げています。
そうでなければ、自ずと辞めさせられるだけです。
上司や会社が、ごく潰し扱いする貴方をいつまでも辞めさせないのは何故か?
単純に人手が減ると困るからです。マウントは取りたいが奥さんに本当に出て行かれたら困るDV夫と同じです。
自分が責任を取りたくない(とりわけ会社都合にはしたくない)と言うのも一つでしょう。
けれど、その為に他人を傷つけて良い理由などありません。わざわざ訴えられるかもしれない中傷を浴びせずとも、貴方をクビにするスマートなやり方はいくつもあります。
彼らの望む向上心やレベルアップと言うのは、適切な指導下でのみ齎されるものです。
経営者ははっきり言って貴方にそこまで期待しません。あわよくば伸びてくれれば儲けものです。
A社のリーダー達くらい必死に働いたって替えはいくらでも利きます。
2チームを指揮していた元主任のスイさん(10年選手)ですら、居なくなった所で会社は傾きませんでした。
こういう論理には「本物の指導」も混ざっているのがまた性質の悪い所ですが……取捨選択はきっちりしましょう。
パワハラ上司だからと言って頭から否定せず、かといって自己肯定感を削ぐだけの暴言は流しつつ。
なかなか難しいですね!
「やる気が無い」
やる気とは、未来に希望が持てて初めて湧く余地の出来るものです。
例えば「月々、貯金がマイナスになるほど安い給料」の仕事で、やる気など出るでしょうか?
やる気を出させるのは上司の仕事です。
奮起させる為に無理をさせる、と言うやり方に理はありません。
それで伸びる人材ならとっくに伸びています。
また、それで伸びた能力は、上司の力ではなく本人の資質の賜物です。
やる気を出させるのがうまい上司は、自ずと下に「この人を困らせてはいけない」と思わせます。
そして、その為に何をすべきかのキャパシティを残してくれているので(個人差はあれど)詰められまくるよりは、上司の為に動くことができます。
他にも何かあるかも知れませんが、思いつく限りはこんなところでしょうか。
「結果を出していない」に対する反論は、正直、これで完全に正しいかはわかりません。
指導とパワハラの境目というのは、それほどまでに曖昧で難しいものではあります。
また何か思いついたら書いていきます。
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