ブラック職場脱出マニュアル ～実録・一度死にかけた私が転職を果たすまで～

派遣・転職エージェントを紹介してもらった話

　A社時代末期の話です。

　再び死にそうになっている私に、友人が、知り合いの転職エージェントを紹介してくれました。

　そこはどうも地元(県内、および隣接県)限定で職を斡旋している会社のようでした。

　転職エージェントと言えば、以前、某大手転職エージェントには登録し、実際にエージェントと電話もしたのですが、面接はおろか応募にも至りませんでした。

　これに関しては先方ではなく、私に原因があると思います。

　そもそも当時は、そうして電話をするだけでも体力の消耗が著しかった状態でした。

　仕事前に少しでも睡眠・休息を取らねばならなかった当時、履歴書や職務経歴書を書き、対策を練って、夜勤前の時間を使って受かる保証もない面接へ……と言うのはあまりにハードルが高すぎました。

　控えめに言って、不可能でした。

　更に使える職歴・経験もない。(正確には、自信喪失からそう思い込んでいた)

　メンタルヘルスでの通院歴もあり。

　電話口からでも、エージェントの困惑する様がわかるようでした。

　それでも定期的に連絡をいただき、手を尽くしてはくれましたが……とりあえず、一般的な転職エージェントには、私のような案件は難しい仕事だったと思います。正直、迷惑かけました。

　そんな経緯もあって躊躇いつつではありましたが、本当に死にそうだった私を慮ってくれた友人の紹介です。その友人の紹介だからこそ、今度は踏ん張れるかもしれない。良いきっかけと思い、連絡してみました。

　大手の場合、対象地区が全国に及ぶ為、情報の選別にもある程度の労力を要します（検索による絞り込みは可能ですが）

　そして、あくまでも企業側からの登録を待つしかないという受け身の側面もあると思います。

　こうしたローカルな転職エージェントがあるのなら、そこ自体のコネで雇用者側の客も相当数抱えているのではないか？　そういう予測もありました。

　結局、この辺りの考察が正しかったかはわかりません。

　結論から言えば、この“地域密着型転職エージェント”でも、仕事は見つからなかったからです。

　ただし、全く無駄であったかと言うと、決してそうではありませんでした。

　まず、当時の疲弊しきっていた私にとって逆にありがたかった事は、

　基本的にこちらから連絡しない限り、先方からは何も求められない、という事でした。カウンセリングにもそこまで時間を取られず、面接に向けた煩雑な準備等も要りませんでした（面接の段階まで行けば、流石に対策や履歴書も要したでしょうけど）

　これはローカル・大手の違い云々と言うよりは、その会社の特色に過ぎないのかもしれませんが。

　良い仕事があれば求人回しますよ、程度でも言ってもらえるだけありがたかったと思います。

　しかし、おりしも新型コロナウィルスが猛威を振るう情勢。

　はっきり言って、正社員の仕事は全くと言って良い程無い、と言われました。

　しかし、派遣と言う形式でなら、今からでも紹介できる求人はいくつかあるとも言われました。

　その会社について後から色々調べてみた感じですが、どちらかと言えば転職エージェントがメインではなく、派遣会社としての色が強かったのだと思います。

　ただ、通常の派遣よりは「正社員登用を視野に入れた、前ステップとしての派遣雇用」と言う方針を取っている……そうです。先方の談によると。

　これに関しては、新卒の頃に同じ事を謳った詐欺

https://kakuyomu.jp/works/1177354055446437088/episodes/16816410413897836873

にかかって初動の5年を棒に振った経験があり、私に非正規雇用に対するトラウマすら植え付けて下さったので眉唾と思いましたが……。

　また余談ですが、昔、ある正社員登用の面接を受けたらそこが実は派遣会社で、

「このスキルがあるなら、うってつけの派遣の仕事がある！」

　と息巻かれて、いつの間にか派遣の話にすり替わっていたという、怖い思いもしていましたので余計にトラウマでした。

　ただ、信頼している友人と懇意にしており、その友人は前述のようなしょうもない人種とビジネス関係を持つとは思えませんでしたし、実際のカウンセリングを受けた印象でも大言壮語の気はありませんでした。

　あくまでも派遣会社、サブ事業としてのローカル転職エージェントという立場から、現実的に出来る事・出来ない事を正直に話してくれていたと思います。

　そして、A社に居続けるのが最悪（殺される寸前）の状況でした。これより悪い状況には、失業を除いてはなかなかなりようもありませんでした。

　前置きが長くなりましたが、結論を。

　このケースにおいて「失業しても、当面の働き口は保障される」と言うだけでも、とても心強い後ろ盾になってくれたと思います。

　もしもE社の採用が無かったとしても……遠からず、この会社を（派遣会社として）頼って、Ａ社を見切っていたかも知れません。

　こんな時勢だからこそ、正社員希望の方も一考の余地はあると思います。