タブーや超えちゃいけないラインを決める

 これはなるべく元気な内(ベックのうつ診断なら中度のうつになる前)にやって欲しいのですが、

「これをされたら辞める」「この基準を超えたら辞める」と言うルールもしくはタブーを自分の中で作りましょう。

 惰性で仕事を辞められないのは、辞める理由の定義がはっきりと出来ていないからだとも思います。

 私は、復職直後にいくつかのタブーを決めました。

 

 具体例としては「家族の悪口を言われたら辞める」「殴られたら辞める」等。

「挨拶を無視されたら」くらいの事でも良いです。挨拶も返せなくなったら、相手は貴方を人間とみなしていません。

 自分の中で「許せない」「これをやったら終わり」と言う定義をしっかり決めましょう。


 そして、ハードルは気持ち低めに設定した方が良いです。

 やはり、辞めたくても辞められない迷い、と言う引力は相当なものです。

 結果、実際に辞める時には設定したルールより状況が悪化している事になると思います。

(挨拶を無視されたら辞めるつもりだったが、気付けば報連相すら無視されている状況になっていたり)

 私の場合、タブーのうちの一つとして「肉体的に暴力を振るわれたら」と言うのがありました。

 そこは狡猾なリーダー達。結果的には指一本手出しをして来なかったものの、フォークリフトの無資格運転の強要・対策の妨害、と言う「肉体的に危険を生じる」命令が私の中のタブーに抵触。転職活動に本腰を入れる決め手となりました。


 上の例での「家族の悪口」と決めた人も、はっきりと「家族を殺すと脅される」まで決心がつかない事もあるでしょう。

 例えば身なりの乱れを指摘されて「奥さん(親)は見て見ぬふりか?」と言われた事は、悪口に当たるのかどうか難しい所です。

 その為、最初からハードルは低めにしておくべきなのです。「家族を殺すと脅される」事をタブーに設定した場合「直に家族を殴られる」まで動けない危険があります。

 家族に手出しをされるなど滅多に無いでしょうが、タブーのハードルが高いと言うことは「タブーを破られる機会が巡りにくい」為に、転職する方向に切り替えるチャンスも来ない事を意味します。


 私の場合は他に「ロッカーに財布等を仕込まれるような冤罪を着せられたら」と言うタブーも決めていました。

 これは本文「嘘つきのレッテル」でも挙げましたがダイさんの「お前は信号無視をした」と言う言い掛かりが当て嵌まります。

 本文で述べたように、ここまでの事を言う人間は、ロッカーに財布等を仕込むくらいの事はしかねません。

 自分が犯罪者に仕立て上げられてからでは、何もかも遅いのです。

 

 無論、パワハラ上司・ブラック企業とて、我が身が可愛いので、滅多な直接攻撃はしてきません。

 しかし、初期のパワハラ行為がどの程度の強さかにもよるでしょうけど、慢性化したパワハラと言うのは、それまでに段階を踏んで悪化してきた筈です。

 彼らは「仕事への熱意」「仲間意識」等の正論を巧みに織り混ぜて、パワハラと言う犯罪行為を正当化させていきます。

 真実を混ぜて虚偽を有耶無耶にするのは、基本的な洗脳の手口です。

 いじめっ子が「先生にチクったらわかってるよな?」と脅すのは、先生に知られたら罰が下るのを恐れているからです。そして、もういじめる事が出来なくなるからです。

 そんな無法地帯で相手がいつまでも法律を守れるかは……保証がありません。

 “慣れ”は道徳心を麻痺させます。

 しかしそれは同時に「相手がタブーを破った瞬間、辞める理由が得られる」と言う事です。

 どれだけ手を汚さないよう気を付けていても、必ずいつかはメッキが剥がれます。

 そうすれば、パワハラ上司を「ブラック職場を辞める事に利用」出来るのです。

 

 

 

 余談。

 重ねて言いますが、パワハラは時間が経つほどエスカレートして行くものです。

 殴る、蹴る、などの暴力の場合はもはやパワハラ以前の問題です。

 傷も残らない些細なものであっても、大袈裟に騒ぎ立てるくらいはしなければ、危険です。

 さもないと、最初は平手だったのが拳になり、蹴りになり、最後にはハンマー(食品関係なら包丁)にならないとも限りません。

 

会社の法よりも、社会の法。

これだけは決して忘れてはなりません。

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