ブラックとホワイトの違い ~押さえるべき違和感ポイント~ その2
●病院へ行くと怒られるのがブラック
●病院へ行かないと怒られるのがホワイト
これは「社員の健康を気遣い、慮る」と言う綺麗事の話ではありません。
ホワイト職場の場合、戦力をどう配分すべきかの判断を緻密に行っている為、一時休みで穴が開いたとしても対処する甲斐性があります。(その人員配置に管理職は苦しむので、申し訳ない気持ちを忘れてはなりませんが)
むしろ病院に行くのを躊躇して悪化された方のデメリットを実感しているので、休んででも行って貰わないと“困る”わけです。
診察の結果何も無ければ「何もない」と言う情報が手に入り、安心も得られます。
そして、もしも通院を阻害した場合、法的に暴れられて不利になるのは企業のほうです。それを、毎度、支配関係だの精神論だので押さえつけるという事がいかに不安定で愚かしい事かも知っています。
一方でブラック職場の場合。
人員に遊びが無く、常にカツカツの戦力でやっているので、一人が抜けただけで大騒ぎします。
好意的に受け止めれば「少ない人員で一生懸命」と取る事も出来ます。
けれど「人件費をケチった結果、何人か休んでも大丈夫と言う安全マージンが取れていない」とも言えないでしょうか?
もしくは、自分の会社にどれだけの戦力が必要かをそもそも把握して居ない。
確かに、何の責任も無い社員がそこを責めるのは酷かもしれません。あるいは、無責任とも。
けれど、だからと言って病院に行かせないと言う人命軽視が認められて良い筈はありません。まして、個人の好き嫌いでそれを出し入れするなど、論外です。
そしてホワイトとは対照的に、ブラックの管理職・役員は「力でねじ伏せればいい」「いざと言う時は産業医や弁護士が居る」と思っている節があります。
そういう慢心が、お互いにとって最悪の結果に至ったケースが過労死問題等としてテレビを賑わせてしまっているのではないでしょうか。
他人(社員)の獲った魚を、ただ大口開けて食うだけがブラック企業で、
魚の獲り方を心得て、恒久的に食い扶持を確保できるのがホワイト企業。
病院云々に限らず、私のイメージとしてはこんな認識です。
ちなみに、明らかに仕事をサボって休んでばかりいる人は、現実に存在します。
正直なところブラック職場では、そういう人が何人か居た為に、セキ係長が疑心暗鬼に憑りつかれていた面もありました。
有休は社員の権利……ではありますが、節度を守ると言う責任は流石に社員側にあります。
そう考えると、セキさんの態度には一部、理解できる所もあります。
ただしそれも、信賞必罰がきっちり決まってないと言う経営者の落ち度もあります。
言いにくい所ですが、私がホワイトと思う職場において、最近、勤務態度の悪かった(度を越して休み過ぎだった)らしい人が一人謹慎処分となりました。正式な書面が玄関の掲示板に貼られると言う徹底ぶりです。
ブラック職場の場合、有罪の人間も無罪の人間も一緒くたに私刑に処していました。
けれど規律が明確なホワイト社ではそんな事をする必要がそもそもない。だから、パワハラに代表されるリンチまがいの弾圧が生じる余地も無いのです。
●数字を読めないのがブラック
●数字を読めるのがホワイト
一見して当たり前ですが、かなり根が深いです。
私の前職のブラック職場と言うのは、とにかく二言目には数字の提示を求められていました。
顕著なのが「時間配分をどう見ているか」と言う事で、別項でも触れましたが分単位でズレるとリーダーが報告を求めてきました。
これが“遅れ”ならまだしも“予定より早く済んでも”です。
そして報告に行かなければ当然怒られ、報告に行けば「だから何?」のダブルバインドが待っています。これは会社と言うより前ブラック職場のリーダー自身の問題ではありますが。
この例で言うと極端な話「最初に提示した時間の、1分のズレも許されない」と言う事です。
スパコンでもない人間に、そんな芸当が可能でしょうか? 当然無理です。
この際、こういう口実で他人を詰めるリーダーらの人格についてはここでは触れません。趣旨が違うので。
ただブラック職場は「数字にうるさいくせに、数字に無頓着」と言う矛盾を抱えがちだと思います。
上の例で言えば、まずもって「なぜ数分ズレたか」を論ずるよりも、リーダーが切り替えて「ここでズレたから、ここでやり方を変えよう」とすれば済む話です。もしくは素直に、個々に任せれば良い。
話し合いによるタイムロスが、結果、自分の首を絞めている事に気付いていません。
しかも前ブラック職場での、とある先輩が私に教えてくれたのが「15分余分に時間を計算しておけば大体帳尻が合う」と言うものでした。
事実、自分で考察しても、その先輩の言っている事が正しいと言う結論に至りました。スケジュールとは本来、安全マージンを含めて計算するものだと思います。
出勤一つ取った所で、ギリギリの時間に家を出ないでしょう? 道中、事故や渋滞が無いとも限らないのだから。
とにかく“数字”と言う物には必ず使い道がある筈です。
それを考えもせず、ただ目先の時間のズレにしか意識が行かないのがブラック企業と言う物です。
私の2社目が「退職の意思を2ヶ月前に告げるのが遅い」と非難して来たのも、これです。ならば、何ヶ月前であれば遅くないのか? 恐らくそのビジョンも明確でないまま、慌てふためいていたのでしょう。
1ケ月前に告げるのが相場、と言う事を知って居れば、予め「1ヶ月前にどうすれば良いのか」と言う手立ても知れたでしょうに。(※この相場は法的なものではなく、また、業種によっては変わる事もあります。事実、私の妻の職業では3ヶ月前後と安定しなかったそうです)
またこれも余談になりますが「数字を突き付ける」と言うのは、パワハラ手段としては結構強かったりします。
まず、「時間計算をさせる」と言うのは何かと脳のタスクを占領します。つまり、被害者の思考能力を奪う事に関して効果的であり、また、口実としても使いやすい。
そして、仕事はスケジュール管理が大事だと言う事実がある以上、そこを焦らせてやればかなり被害者をモタモタにさせる事が出来ます。
モタモタにさせる、と言う事は、被害者を無能に貶める事が出来ると同義です。
そして時間に限らず、ブラック上司の随意のタイミングで瞬間的に数字の計算を強要する事で「こういう“算数”もまともに出来んのか!」と相手の尊厳を傷つける事にも有効です。
1+1=2
ですが「2」と言う答えを出せ、と言われた時のプロセスは人によって違います。
3-1かも知れないし何なら102-100かも知れない。
前ブラック上司のダイさんがよく使ってきた手口ですが、
「なんで一々全部を足すんだ! 誤差の引き算一回すれば済むだろうが!」と横から怒鳴りつければ、相手の頭の中の計算は千々に狂うでしょう。
そして“モタモタ状態”に陥り、誘発される計算ミス。
それを指摘して「お前は算数も出来ない」のレッテル貼り。
説明が難しいのですが、この例の計算の場合、私は万に一つも計算ミスをしたくなかったから、材料として持っていた数字を全て足し算したのです。
誤差を一回引き算すれば5秒で済むかもしれない。
けれど確実な数字を出すために足し算をして10秒費やした。
それに対して怒鳴りつけ、分単位のタイムロスを生み出した挙句、計算ミスのリスクもわざわざ作り出す。
無駄なのは、どちらでしょうか。
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