退職の告げ方?

 いざ「辞める」と決断する時、それを会社や上司に伝えると言う一大イベントがあります。

 これがある為に、退職に二の足を踏んでいる方もいらっしゃることでしょう。

 そう言う相談をしにくい上司だからこそ貴方は辞めざるを得なくなったわけで。

 かと言って、そう言う相談をしやすい程には信頼している相手に別れを告げる、と言うのも気持ちの良いものではない。

 そして、一度それを口にすれば、もう引き返せないと言う気持ちもあるでしょう。

 今回は、そんな「最後のハードル」を、私がどう越えた来たかの実例を並べて行きます。

 この中に、貴方に合ったやり方があれば幸いです。

 なお、時系列順に紹介していくので、先に出てきた方法ほど私が若かった事を意味します。参考までに。

 

●契約社員であれば、更新を拒否

 1社目は契約社員だったので、これが出来ました。

 正社員が辞めづらい要因としては、契約と言う区切りが無い事も一因かと思います。

 契約であれば、更新のタイミングで、先方から「続けるか、辞めるか」を聞いてくれますので、いくらか辞めやすかったです。

 とは言え私のケースもですが、あまり長く勤めると、契約の更新は形のみで「続けるんだよね?」と言う空気が出てきますので、過信は禁物です。

 

●主任は無視

 1社目の主任とはお互いに嫌い合い、仕事に支障を出していました。

 私にとってこの人は「口出ししかしない、毒にも薬にもならないタケさん」でした。

 通常、まずは直属上司に告げるのが筋とは思います。

 そんな当たり前が守られないと言うことは、その上司が部下を当たり前に扱えなかったと言う事。

 退職すれば、もう上下関係も意味がありません。

 このタイミングこそ、部下が上司に対してこれまでの評価を突き付ける時なのです。

 

●挑発して退路を絶つ

 これも1社目。契約更新の拒否に対して、これまでの私を否定された為、売り言葉に買い言葉です。

「貴方はどこで私の仕事を見ていたのですか?(事務所でぼけっとテレビを見ていた人が? 伝聞でしか私を評価出来てないのに?)」

 退職を告げたとき、上司は基本的に貴方を慰留します。これは世の中のセオリーであると同時に、人手を減らしたくないと言う願いもあるでしょう。

 そこが、最後の最後にあるハードルです。ここで迷うと、丸め込まれます。

 それを防ぐ意味としても、単純な意趣返しと言う意味でも、私は否定しません。

 ただし、積極的におすすめも出来ません。

 この世は、一見して無関係な業界間でも、誰と誰が繋がっているかわかりません。

 現在の上司と、貴方が次に行く場所の上司が知り合い、と言う可能性はゼロではありません。

 私の場合、A社に父親の知人が三人居て、更に私の地元の知り合いとタケさんが繋がっていました。

 リスクとリターンをよく考えましょう。

 

●パワハラ上司を告発して断固抜ける

 これは私ではなく、1社目の先輩です。

 部署の上司から日常的に怒鳴られるパワハラを受けていました。

 最終的にはその上司ではなく支店長に退職を告げ、引き留めに対しても「もう嫌です」と言い切って脱出を果たしたそうです。

 あと、当時の私の主任によっても4人ほどパートさんがいじめられ、辞めていますが、それもここに当てはまるでしょう。

 彼は最終的に始末書を書く羽目になっていました。それでも治りませんでしたが、直接争わずして敵にペナルティを与える事も出来ます。

 元凶から一歩離れた位置の人間に告発するのも、手だと思います。

 ある意味でその人には直接関係ないので、冷静に話せますし。

 

●当たり障りの無い事実を理由にする

 2社目の話です。

 営業所の移転に伴い、通勤時間が一時間半超になってしまった状況を理由にしました。

 移転は仕方の無い事で、それについていけない者が出るならそれも仕方がない、と言う流れを作れました。

 給料が安い、など、待遇面を理由にすると「責められた」と受け取る管理職も居ますので、なるべく相手が責任を感じない理由にしましょう。

 

●やりたい事が出来たと言う

 職業訓練などは、こう言う理由づけとしても良い感じです。(無論、自分の中でプランははっきりしましょう。失業手当て狙いだけと言うのもお勧めできません)

 他にやりたい仕事がある、とか、夢を追いたい、でも構いません。

 これを言えば、上司は貴方を格段に引き留めにくくなります。

 職業選択の自由は貴方自身にあり、自ら手を汚してまで干渉したい上司はそうは居ないと思います。

 

●ifの話・休職時に退職を迫られた時に辞めても良かった

 もちろん、A社の話です。(旧)部長は、保身のため、休職を希望した私を、会社から(独断で)追放しようとしました。

 正直な所、ここで勧告に従っても良かったと思います。

 休職者を出すような環境で、しかも部長クラスがこんなやり方で揉み消そうとするような会社など、底が知れています。

 事実、私のケースでは部署異動も受け入れられず、上が問題の根本を理解していなかったので、状況も改善されませんでした。

 もし、この部長のような人間の言いなりが嫌なら、人事権を持つ管理職に取り次がせましょう。

 私の場合、社長と話してある程度の折衷策を提示されました(休職を一部認め、部署は変えられなかったがチームの再編成がされた、条件が飲めないなら退職と言われた)

 結論から言えば、こんな措置では問題の解決になっていませんでした。

 しかし、部長の言いなりで辞めるよりは、ここで社長と話し合った上で辞めたとしたら納得の上ですし、一番ベターな展開だったと思います。


●クビになる

 これは私ではなくA社の別の人。

 彼も元々不真面目な上にミスが多かったものの、タケさんのパワハラで悪化していた節があります。

 狙って出来る事でもありませんが、辞めるきっかけとしてこれ以上のものは無いでしょう。


●転職を決めてから報告した

 最も理想的な展開だと思われますし、世の中で最も推奨されているのでは無いでしょうか。

 新しい仕事が決まったのなら、貴方にもう迷いはない筈です。上司もまず引き留められません。

 これでも力をもって引き留めようと言うなら、もはやそれは明確な犯罪行為です。

 しかし、世の中は転職や再スタートがおいそれと出来ない構造をしているから問題なのです。

 ブラック職場やブラック上司とは、たとえ仕事が暇であっても貴方を断固休ませまいとします。

 よほど勝算があるのなら、仮病なりなんなりで、そんな圧力はぶっちぎれるのでしょうけど……。

 しかし、転職活動と平行して、他の辞め方を模索する事は不可能ではありません。

 一番最悪なのは、失業を恐れるあまり、再起不能なダメージを負う事です。

 立ち上がる気力もない、履歴書を書く体力も惜しい。

 わかります。

 けれど諦めず、殺される前に手を尽くして下さい。

 貴方は今、殺されそうになっています。

 その為にはブラック上司の「お前は無能だ」という洗脳を振り切り、自分の能力をおさらいしてみて下さい。それでわからないなら、求人をみて自分の能力に合ってるかから考えてみて下さい。

 最近なら、履歴書はパソコン書きでも受け入れられます。むしろそれで落とすような会社は、昭和の害悪をいまだに抱えている可能性が高いです。

 事実、私の今の仕事はパソコン履歴書で通りました。煩雑な職務経歴書も要りませんでした。

 それでも今のところ、明らかにまともな会社だと思える環境です。

 ……ちなみに私は、ここでも直属の上司を無視し、係長に第一報をしました。

 反対チームのリーダーには「心がない」と言われましたが、これが私の、彼らに対する、部下としての評価です。

 



 私の経験からは、こんな感じです。

 面と向かっての切り捨て、遠回しなやり方、正当なやり方、一通りはやってきたつもりです。

 この中で、貴方が出来そうなやり方があれば、と思います。

 このハードルさえ越えられれば、脱出は目の前です。

 



 余談。

 最近では、代わりに会社に退職を通告してくれる「退職代行」なるサービスもあると聞きましたが、私は使わなかったので言及出来ません。

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