その後のA社
先日、買い物をしていたらセキ係長とばったり出くわし、現状を聞く機会がありました。
結論から言うと、シン先輩(現場で私がほとんど唯一信頼していた方)が辞めました。
彼は能力・キャリア的に恐らく、一番出来る人でした。
部長以上の役職者と折り合いが悪く冷遇されており、本人もそれをよしとしていたのでヒラのままでしたが、本来は彼がリーダーとなるべき人材でした。
それが、私が辞めてまだ2ヶ月足らずに去った。現場でどれだけの混乱が引き起こされたかは想像するだに恐ろしく思います。
更に、タケさんが体調不良を理由に休みがちとなっているそうです。
何をやっているんだ。
今こそ仕事のために踏ん張れ。
潰れるまで働け。
私怨と言うより、失望しました。
ご覧ください。
これが、いざ自分が追い込まれたブラック上司の、成れの果てです。
他人は駄目だけど、自分はやっても良い。この傲慢極まりない、子供のような特権意識こそが彼らと言う人間の全てです。
自分だけが例外の「何でもあり」なのです。
これを殺人犯のような犯罪者と同列に置かずして、どう評しろと言うのでしょうか。
もはや私にとってのタケさんの存在意義は、ここで悪い例としてあげつらい、こうした人間にいつまでも従い続けてはならない、と警告を発する為の材料でしかありません。
とは言え、彼が余計なモチベーションを持たなければ、後輩のナガ君の事はむしろ安泰かも知れません。そう思わないと救われません。
このようにタケさんは役立たずとなり、シンさんはもう居ない。
正直、私ではどう頭を捻っても班編成が出来ません。もう、正攻法では成り立たない所にまで来てしまっています。
現在はセキさんが老体に鞭打って半夜勤のようなシフトに組まれているそうです。(彼の場合、本来は日中にこそ必要とされるので)
そんなものが、いつまでも続くものか。
専門性が売りの仕事だったから、中途で即戦力を雇う事もままならない。
新人が入ったとして、誰が教えるのだ。最低、一年スパンで。
これを半年とかで仕上がる程の逸材なら、そもそもA社には来ません。条件が悪いのだから。
自惚れるわけでなく、私の退職が皮切りとなったのは確かだと思います。事実、シンさんには「ハロワどうだった?」と訊かれており、何となく転職先の目星を付けていることもちらりと聞きました。
年齢こそ私以上にギリギリでしたが、彼の能力・実績・話術なら、同業種の会社の面接を通る事はそう難しくは無かったでしょう。
上司たちは、充分予想できた筈です。
私が辞めた直後にでも彼と向き合えば、防げた事です。特に折り合いの悪かった(旧)部長が下らないプライドさえ捨てていれば。
一人あたりの戦力比重が大きい仕事だったのに、部下をまともに評価しなかった。それが、現場の本当の要だったシンさんを失うと言う、この末路です。
ほれ見たことか。
セキさんが非常に可哀想でなりませんが、脳裏に浮かんだのはその言葉でした。
上が下を評価するように、下も上を常に評価している。
しかも、日頃立場的に言えない分、その評価はこのように手遅れな段階で突きつけられる。
その危機意識が無い企業が、あまりに多いのでは無いでしょうか。
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