概要
そこにいても全く不思議ではないくらい、当たり前のように共存していた。
ある種は薬になり、ある種は食べ物をより味わい豊かにした。
我々の生活と切り離せないものであり、我々は『彼ら』を利用すらしていた。
平和に共存していたはずの小さな生き物が、一晩明けると人間の生活を脅かす存在になっている。
淘汰されるのは人間なのか『彼ら』なのか、それとも再び共存の道を探るのか。
※登場する団体や災害などはフィクションです
【関連作品】
*丹下源太の新人の頃はこちら
『ウグイス男子』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889189406
*二階堂と梨香の高校二年生時代はこちら
『科学部!』
https://kakuyom
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!たかがカビと侮るなかれ 手に汗握る、秀逸なパニック群像劇
ただのカビ、されどカビ。異常な繁殖力を得たカビが世界を覆い尽くす恐怖と、その困難に敢然と立ち向かう人々を描いた傑作です。時折差し挟まれる専門用語やらはスパイス程度。むしろこの作品の凄さは、次々と登場するキャラクターの簡潔かつ緻密な描写にあります。
オーストラリア、ケニア、アイスランド、アラスカ、日本という世界中を舞台に、そこにいる様々な人々の不安や恐怖、焦り、希望、解決に向けた強い意志、それらを事細かに、なおかつ飽きさせることのない筆致でグイグイと読ませる。パニックを描いた群像劇として、そうはお目にかかれない面白さ。
そして登場人物が決してへこたれないどころか、危機に向かって立ち上がるの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あえて言う。この物語は泣ける現代ドラマだと。
作者が選んだジャンルはSFだが、明日起きるかもしれない――いや、今この世界で起きていることが描かれている物語といっても過言ではない。
ある国のある地域で発生した青カビ。何らかの理由により変異したその青カビは爆発的な繁殖力を持ち、人々の移動に伴ってやがて世界中に広まっていく。
物流の停滞、誤った情報による物資の不足、そして始まるロックダウン。
そう、わたしたちが進行形で体験しているコロナ禍を誰もが連想するだろう。
この物語では様々な場所で多くの人たちが、この想像もしなかった事態に立ち向かっていく姿が描かれている。そこにあるのは強い心だけではなく、葛藤や弱さ、使命感、それぞれの思いだ。
自分…続きを読む - ★★★ Excellent!!!パンデミックから世界を救ったのは我らが日本の千葉モデル
パンデミック。世界的大流行。
本作『黴』は「あらまあ、嫌だわ」で始まった日常の風景が日常ではなく異常であることに人々が気づいていくパニック小説。
ある意味主役(?)である『彼ら』は人命を脅かしたりしません。それどころか我々は『彼ら』を有効活用、薬の原料にしたり、チーズを熟成させることに利用したり。そう、我ら人類は自然を科学で支配してきたのです(by 二階堂博士)。
ところがあるきっかけで『彼ら』は爆発的速度で増え広がっていきます。
対する人類は無尽蔵に増殖を繰り返していく『彼ら』に右往左往、とうとうインフォデミックによる歪んだ正義が暴走し始めます。
純粋に研究に打ち込む大学生たちが誹…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誰かこれを映画にしてくれ!
ていうかなるでしょ!?映画に!
もういい感じの渋ーい俳優さんが出るわけですよね。あぁ、考えただけでもうよだれ出るわ。
なんてふざけたことばかり書いてても仕方ないですからね。とはいえ今回もお得意の勢いレビューなんですけども。
ストーリーがどうだとかね、その辺は他の方のレビューを読んで頂くとしてですよ。私が声を大にして言い(書き)たいのは、
キャラが全員最高すぎんだろ!!!
ってことです。
おっかしいなぁ、途中まで「くっそムカつくなこいつ」って思ってたはずなのに、気付けば「もうアンタ最高だよ!」ってエール送りまくりなんですよ。
如月さんの小説はとにかく恰好良いオッサンが出て来るんですよ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ホラーではないのに恐ろしい、想像力豊かなアナタに読んで欲しい!
どこにでもある人畜無害だったモノが人々に猛威をふるう。その結果巻き起こる人々のパニックは恐ろしい事です。
でも、それよりももっと恐ろしいものがこの中には出てきます……
正義の名のもとに行われる行為ほど恐ろしいものはありません。なぜなら、その行為を行っている人は自分が正義だと思っているので、行為に対する制限が一切なくなっているからです。アナタが掲げている正義の御旗は本物ですか? 一度立ち止まって考えてみませんか?
カクヨムで小説を読んでいるアナタなら、誹謗中傷をされたらどうなるか? 犯人捜しのターゲットにされたらどうなるか? 想像力が豊富なアナタなら容易に想像できるはずです。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人類を死に至らしめるものは何か。withコロナ時代の今こそ読むべき一作
地球上のあちこちで青カビが異常増殖し、人間の生活を脅かす。
原因は何か、誰が胞子を運んできたのか。さまざまな憶測やデマが飛び交い、人々はパニックに陥っていく——
そんな様子を、住む場所も立場も年齢も違う人物の視点から描く群像劇です。
昨年から始まったコロナ禍でも、同様の混乱がありました。
ウイルスそのもの以上に、人間の心や言動の方が怖いと感じた人も多いのではないでしょうか。
それゆえに、カビに翻弄される人々の視点で綴られた前半部には、凄まじいリアリティがありました。
そして原因の究明と対策が進められていく後半部の、有能な人々が見事な連携を見せるグルーヴ感たるや。
骨太なテーマで終始シリア…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界中で繁殖するカビの驚異。アナタならその時、どう動きます?
ある日突然、家の中でカビが生えていたら。普通なら掃除をして、それで終わるはずです。
だけどカビはだんだんと広がっていき、世界中で猛威をふるう。
当たり前のように口にしていた食べ物が、働いていた職場が、次々とカビに侵食されていく。
そんな時人は、どう対処するでしょう。
カビが広がったのはアイツのせいだ。カビの被害にあった地域の人とは、接触すべきでない。
ネット上では心無い言葉が飛び交い、人の無自覚な悪意によって被害はさらに拡大していく。
これはそんな、カビが猛威を振るう世界で生きるたくさんの人達にスポットを当てた群像劇。
カビの驚異だけでなく、勝手な憶測で誰かが悪者にされ、誹謗中傷が飛び…続きを読む - ★★★ Excellent!!!自らの問題として引き込まれていく
とても面白かった、すごい、圧倒されます。
人為ではない恐怖が襲う。
未知のものを前にする。
そんなとき、人はどんな行動をとってしまうのか。
私たちはいま、ウイルスの脅威にさらされていますが、この物語は私たち人間がそうした未曾有の事態に出くわした時、どうなるか、ヒトの生々しい在り方を描き出します。
でも、そんなときにどうすればいいのか。
身に染みて考えます。
そうした内容の奥深さに加え、序盤に張られた伏線からあとあと繋がる時の見事さ、作者様の博識(本当にすごい)、各人物それぞれの味もまた素晴らしい。
これに魅了されて他の作品も読みたくなります…現に読んでます。
語り尽くさないのでこの先…続きを読む - ★★★ Excellent!!!重厚で骨太。ぜひ一気読みして欲しい本物の「物語」。
これは持論なのですが、面白い作品には「物語を貫くテーマ」と「リアリティ」があると思っているのです。本作はそのどちらも兼ね備え、かつ読みやすく、読み出した手が止まらないような圧倒的な面白さを有する、本当に骨太で重厚な素晴らしい物語になっています。
この物語のタイトルが示すとおり、本作は「カビ」と人類が戦う物語。そこには圧倒的なリアリティがあって、ハラハラドキドキ、この先どうなってしまうのかと手に汗握る展開が続いていく。緊張感がずっと続いていて、ワクワクしながら読んでいました。
長々と書いてしまいましたが、圧倒的に面白い! 読書でワクワクしたい人へ、本当にオススメな物語です!