人類を死に至らしめるものは何か。withコロナ時代の今こそ読むべき一作

地球上のあちこちで青カビが異常増殖し、人間の生活を脅かす。
原因は何か、誰が胞子を運んできたのか。さまざまな憶測やデマが飛び交い、人々はパニックに陥っていく——
そんな様子を、住む場所も立場も年齢も違う人物の視点から描く群像劇です。

昨年から始まったコロナ禍でも、同様の混乱がありました。
ウイルスそのもの以上に、人間の心や言動の方が怖いと感じた人も多いのではないでしょうか。
それゆえに、カビに翻弄される人々の視点で綴られた前半部には、凄まじいリアリティがありました。

そして原因の究明と対策が進められていく後半部の、有能な人々が見事な連携を見せるグルーヴ感たるや。
骨太なテーマで終始シリアスに進むストーリーながら、素晴らしいエンタメ作品に仕上がっています。

人類は自然とどう向き合うべきか。
発達した科学がどのような役目を担うのか。
現在のことばかりでなく、未来のことにも思いを馳せました。
まさに今の時代に読むべき作品です。最高に面白かったです!

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