藤浪保

引くほどにリアル。上手いなあ。

地上からも地下からも追い詰められ、さらには宇宙からも危機が訪れる。なすすべなし。科学的考証がやや足りないとは思うけれど、ライトSFとしては楽しめるし、人間ドラマとしても楽しめる。主…続きを読む

中学生の僕と大学院生の彼女。恋愛小説に見えて実はがっつりSFで、やっぱり恋愛小説だった。書かれていることは難しいけれど、わからなきゃわからないままで問題ない。物語の雰囲気を楽しんで…続きを読む

構成が見事。落差がすごい。主人公に感情移入できて、一緒にテンションが上がって一緒に落ち込んだ。乱暴に電源を切ってしまうところとか、布団でジタバタと両足を動かすところとか。

大国の脅威にさらされる独立間近の港街をめぐる王道ハイファンタジー。王道とはかくあるべしという、胸熱な展開、かっこいいアクション、美しい魔術。主人公ら二人の会話の応酬も楽しい。「それ…続きを読む

まずは飯テロ「くそう美味そうじゃないか」→そして言い伝え「ああうん、よくありそうな話だよね」→最後「！？」ってなる作品。フグを食べているシーンが本当に美味しそうだ。熱いご飯と一緒に…続きを読む

見事なSF。なんか変な感じがするなあ……そうかそうかそういうことか……え！？　って作品。二回読みたくなる。二度目はもちろん猫の気持ちになって読む。 ところでみんなレビューでにゃーに…続きを読む

文体も雰囲気もストーリーもとにかく全てがヘヴィでダーク。血と暴力と汗と酒と薬と女と快楽と死にまみれ、泥水をすすって生きるような世界で、登場人物がみな苦悩している。描写の一つ一つが素…続きを読む

ここまでの強烈な読書体験はないけれど、物心ついたときから本は常にかたわらにあったし、影響を受けた作品は数知れない。そんな作品を書きたいと思うのは、書く動機の中でもとくに純粋なものの…続きを読む

劣っていると虐げられ続けてきた人外が人間に復讐するために立ち上がるのだが、主人公の悪役っぷりというかクズっぷりがものすごい。とにかく「悪」。人外を人間から解放するんだというある種の…続きを読む

不眠症の青年は毎年、一年に一度目覚める彼女の元へ通い、夢の話と現実の話を交換する。眠れない理由と眠り続ける理由や、わずかな時間を重ねることで起こる変化が丁寧に描かれている。読み終え…続きを読む

ほんの少しだけ世界がズレて、別の可能性を持った隣の世界の僕と出会ってしまったら。15センチという言葉からこの発想、そしてこの展開になるのが素晴らしい。読みやすく、でもしっかりSFし…続きを読む

主人公の気持ちにのまれた。途中から胃がキリキリしそうだった。逃げてもいいことはあまりない。けど、逃げずにはいられない気持ちがひしひしと伝わってくる。逃げていることへの罪悪感も。積み…続きを読む

カジノと言えば一発当てて一夜にして大金持ちにというイメージだけれど、プロとなればそうはいかない。いかに勝ち続けるか、いや、いかに負けないかが全て。コンマ数パーセントでも分のある方に…続きを読む

高校生の部活と恋模様を書いたエッセイなのだが、読みやすいし、引き込まれる。くどくどと細かいことを書かずに、さらさらと流れるような文体でさっさと場面が進んでいくのがよい。第三者から見…続きを読む

痔の話だから笑える話なのかと思ったら違った。全然ワラエナイ。いやマジ訴えていいレベル。男だとか関係ない。痛いものは痛い。経験ないけど。というか男の方が痛みに弱いんじゃなかったか。 …続きを読む

胸が痛くなるほど切ない、だけど優しい温もりに包まれている。 人語を解するドブネズミは、美人ではないが心優しくお人好しな少女の平凡な幸せを願い続けている。しかし、その願いとは裏腹に…続きを読む

書店での本をめぐる謎を解いていく物語なのだが、とにかく探偵役のバイト君が超無口。声を発せずにどうやって接客しているのかが一番の謎ではないだろうか。最初は戸惑う主人公が、少しずつ会話…続きを読む

東京に突如湧き出た悪魔たち。対するは日本の神々。キリスト教の天使やシスター、北欧神話の神まで現れて、悪魔たちとガチバトル。 菅原道真、スサノオ、サタン、ラファエルといった、この人（…続きを読む

戦争は愚かだと強烈に訴えてくる作品。何百年も前から幾度となく争い続け、直接被害を受けたわけじゃないのに綿々と受け継がれていく恨み。自国の利益のために紛争に首を突っ込む強国。現地の人…続きを読む

タイトルとキャッチフレーズからはわかりにくいけれど、とても切実な願いだ。ぜひネタを提供してあげて欲しい。そして今はSFだけれど、今後ホラーとなりえるところにぞっとした。僕は大丈夫だ…続きを読む

絶対怖いのにお化け屋敷に入るとか、ゾンビがいるってわかっているのにクローゼットを開けないといけないような心境で読んでいる。怖いけど読みたい。恐ろしいけどあんなことが起こった理由が知…続きを読む

アメリカバージニア州の観光スローガンの成り立ちから奴隷制度まで、へぇと思うことが盛り込まれている。ただ単に事実をつらつらと並べているのではなく、ちゃんとエッセイになっているのがいい…続きを読む

これぞSF。赤子を冷凍保存して後から育てれば、確かにこんなことも起こりうる。この世界において祖父母が両親を亡くした孫を引き取る、くらいの頻度で行われているのだろう。役所の書類がとん…続きを読む

IT関連の超短編集。オチの難易度は高め。「ネットの彼女」はわかりやすい。「バイト仲間」がわかったら素晴らしい。超面白いってわけじゃないけれど、クセになりそうな魅力がある。そして他の…続きを読む

創作活動がリアルバレして女の子と仲良くなるという何でもない話なのだけれど、最後の金平糖がよかった。でも実際にリアルバレしたら血の気が引きそうだ。

誰しもが持ち得るだろう心の闇を勇者も持ってしまった。そして勇者が極端に強すぎたことが悲劇を大きくした。かつての勇者が魔王に変わるという話はよくあるけれど、これはその理由を掘り下げた…続きを読む

タイトルの通り小説の書き出しだけの短編集。どれも今後の展開が気になる（が、書かれることはない）。より短い方が、続きの自由度が高くて好み。

超能力者同士のバトルもの。だけど能力は万能ではなくあくまでも補助であり、戦うときは銃撃や肉弾戦がメイン。序盤は重度のブラコンの妹がいたり突然能力に目覚めたりと、いかにもラノベといっ…続きを読む

セックス連発しているし、序盤は刺激が強いから「セックスライフ万歳」「モテる俺カッケー」「経験人数は40人（どやぁ」だと思いがちだけれど、そういう話ではない。「性」について真面目に書…続きを読む

ラストの絶望感が半端ない。目の前が真っ暗になったかと思った。タタリとはかようにも恐ろしいものなのか。終盤までは、記憶を無くした主人公の様子と、ある時から見るようになった不思議な夢の…続きを読む

夜に生まれたというだけで日光が毒となり、夜行性のモンスターと戦う宿命を背負わされる世界。もうこの設定だけで面白さが保証されたようなものだ。事実面白い。構成がしっかりしていてストーリ…続きを読む

ラブコメの王道を行く作品。オプションはうさ耳とスコート。スポーツウェアはラッキースケベと相性がいい。全身もふもふシーンあり。ブラコン妹とちっぱい好きの悪友との会話も楽しい。テニスに…続きを読む

なんとなくネタとしては思い浮かんではいたものの、自分ではここまで徹底して書くことはできなかっただろう。よかった挑戦しなくて。

一気読み推奨。なんかおかしいぞと思ったときにはもう遅い。それこそジャックされたバスのように、猛スピードで物語が駆け抜けていく。しかもどこまでも加速していく。息をつく暇もなく次から次…続きを読む

希望に満ちた作品。養子として育てられ、またそれぞれに問題を抱えてこわばっていた3人の姉弟の心が、養母の言葉で氷解していく様子が見事。エピソードごとに視点が異なっていて、彼女らの心の…続きを読む

怖かった。ぞぞぞっと嫌な感触が背中を走るような怖さ。枝垂桜（しだれざくら）だっていうだけで怖いのに、あの光景ったらもう……。あー、しばらく桜には近づきたくない。冬でよかった。

そうだよな。よゆうだよな。なれる。なれる。

暗闇の中で身動きが取れず、かなり必死でもがいたのだろうな。自分の状況を知って不安だっただろう。その辛さが容易に想像できる。最後まで頑張り続けた彼を褒めてあげて欲しい。

ぞわっとした。幽霊的な怖さと同様に、日常に潜んでいるホラーも怖い。相手が少年だというのもまた怖い。あー怖かった。

ヒーローが完璧。見た目がいいのは当然として、喧嘩に強く、頭が切れて、社会的に高い地位にいる。自分にだけ態度が違うところに最高に萌える。SFの世界で体制側と共に戦うという設定もいい。…続きを読む

これはうまい。まんまと騙されてしまった。実話だということも知らなかった。この手の契約が、よい結果をもたらすのか悲劇をもたらすのかは、創造主ですら予測できない。

驚愕のラスト。叫ぶしかない。妹が仕掛けた謎をノリノリで解いていく主人公と共に、僕も謎解きを楽しんだ。果たして犯人は？

重い。重すぎる。想いが重すぎるよ。これが愛のチカラなのだろうか。あっけらかんとした彼女の口調がまた怖い。ダイエットが趣味になってしまっている人に読んでもらいたい作品。体重が軽けりゃ…続きを読む

作中で登場人物を殺さなくちゃいけないとき、どうなのって思ったことありませんか。大好きな作品の推しキャラが死んで「マジかー！！」って叫んだことありませんか。あるよね、きっと。 でもた…続きを読む

書かれていることが少し難しいと感じたけれど、面白いと思ったので一票。エピソードによって文体が異なっていて、それがいいアクセントになっている。前半の平仮名部分と小難しいところには苦手…続きを読む

もうこのフレーズからして楽しくなってしまう。短い文章の中にぎゅっと詰め込まれたユーモア。SF好きでも苦手でも読めるショートショート。

こういうのをうまい小説というのだ。こうなれば面白いのにという想像の先を行くアイディア。そこに軽々と読者を連れて行く筆力。こんなに短いのに、いや短いからこそ、そして短くしたことが、こ…続きを読む

とにかく主人公が最高に魅力的だ。高慢な態度が貴族としての矜持ではなく、自身のプライドによるものだというのがいい。牧場経営の家で自由奔放に育ったくせに公爵令嬢そっくりで礼儀作法が完璧…続きを読む

最初の奇行や奇病の部分に怯みつつ読み進めると、時代を越えて続く一族の秘密が明らかになっていくにつれて面白くなり、前のめり気味に読み切ってしまった。蝶に人格があるかのような錯覚に陥り…続きを読む