ギガヘルツの、ちょっと先

作者 木本雅彦

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★★★ Excellent!!!

中学生の僕と大学院生の彼女。恋愛小説に見えて実はがっつりSFで、やっぱり恋愛小説だった。書かれていることは難しいけれど、わからなきゃわからないままで問題ない。物語の雰囲気を楽しんでほしい。僕もあまりわかってない。
よくよく考えたら一方通行なコンタクトは取れそうだけれど、たぶん彼女はもっと先に行きたかったんだろうな。

★★★ Excellent!!!

少年と大学院生の静華さん、そして少年の父親である准教授が織りなす淡い恋模様を描いた短編。

父親の研究室を訪れた少年は、「15センチは何秒か知ってる?」と問いかける不思議なお姉さん「静華さん」に出会う。
いきなり特殊相対性理論の話をもちかけられ戸惑うが、少年はそんな彼女に――大人で知的な彼女に――惹かれてしまう。

本を読み勉強し、少しでも彼女に追いつこうとする少年。
しかし静華さんが見詰めるのは別の人。
少年の父親、研究室の准教授。

いつだって走り続け、ひたすらに15cm先――1クロック先――を目指す彼に憧れ、自らもまた走り続ける静華さん。
少年も彼女に追いつこうと走り出すが、ある時静華さんは、本当に1クロック先へ進んでしまう。



緻密な知識に裏付けされた前半は、煙に巻くかのような専門用語の連続です。
しかし、その奥に見え隠れするのは静華さんのひたむきさと恋心。
研究への思いは准教授への想いに繋がっており、時折それが顔を出します。
理系らしくさばさばした、けれど冷めていない静華さんの様子は姉萌えな人にはたまらないんじゃないでしょうか。
少年の素直さも相まって、読者をやきもきさせっぱなしです。

けれど、本作は単なるラブストーリーではありません。
後半にはSFらしく「距離」と「時間」の絡んだ仕掛けが現れます。
この仕掛けと解決方法が、15cmという距離を印象付け、最後の二人の関係性を鮮やかに彩るのです。

地に足ついたむずがゆい恋模様から、常識を一足跳びにジャンプするようなアクロバットな短編です。
SFが好きな方もぜひ!!