何度となく期待させ、何度となくじれじれさせ、そしてあっさりと、それでいて軽妙シュールなこのラスト。
盛り上げて落とし、また盛り上げて落とし。小ネタを一つのラインにつなげて物語にすると言うこの形式は、テンポと毎回の「くすりと笑える」ちょうど良さがキモだと思うが、この小説はそこが上手く作られている。個人的な感想として「ラーメンズの小林賢太郎が作った、そこはかとない怖さのあるコント」を見ているような気持ちになった。(褒め言葉)
こういうのをうまい小説というのだ。こうなれば面白いのにという想像の先を行くアイディア。そこに軽々と読者を連れて行く筆力。こんなに短いのに、いや短いからこそ、そして短くしたことが、この面白さを生み出しているのだろう。玉羊羹のオノマトペの説明もよかった。うん、玉羊羹がよかった。そういや今うちの冷蔵庫にもあるな玉羊羹。
針を刺そう刺そうとするじれったさが続いたかと思うと、ラストは風船に針を刺したかのように一瞬で終わってしまう。そんな恐怖を味わいました。
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