概要
誰からも愛されない少女を見守るのは、正真正銘のドブネズミ。
これは俺と少女の物語。儚げで優しく、健気で繊細な、胸がツルペッタンコで顔立ちの整っていない不幸な少女と、それを見守る勇敢な俺の物語だ。
それはまるで、雪山で遭難した小屋の中にたった一本だけ置かれていた芯の無い蝋燭や、火災現場で鍵の壊れた室内に取り残される様な、無価値な物語。
世話焼きな七人の小人も、池の中で木こりが落とす斧を待ち続けているバカな女神も、少女に微笑んではくれない。だから俺は、それでも俺は、少女の幸せを願い、探し続ける。
もしそれが鼻で笑われるような下らない平凡だとしても、盤石の平和を築く異世界に転生した男子高校生だとか、ツインテールの似合わない魔法少女を描く平凡な筋書きが待っていようとも、俺と少女には、声が嗄れる程の懇願を続け、血反吐を吹き散らしながら追い求める奇
それはまるで、雪山で遭難した小屋の中にたった一本だけ置かれていた芯の無い蝋燭や、火災現場で鍵の壊れた室内に取り残される様な、無価値な物語。
世話焼きな七人の小人も、池の中で木こりが落とす斧を待ち続けているバカな女神も、少女に微笑んではくれない。だから俺は、それでも俺は、少女の幸せを願い、探し続ける。
もしそれが鼻で笑われるような下らない平凡だとしても、盤石の平和を築く異世界に転生した男子高校生だとか、ツインテールの似合わない魔法少女を描く平凡な筋書きが待っていようとも、俺と少女には、声が嗄れる程の懇願を続け、血反吐を吹き散らしながら追い求める奇
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!少女の幸せだけを守る、健気で皮肉屋なドブネズミ
この小説、主人公はただのドブネズミ。そしてただのドブネズミが、不幸な少女を守るために奔走します。
ですがこの主人公、良くも悪くもドブネズミ。人の言葉の意味もわかるし頭も多少回りますが、人の言葉も話せなければ特殊な力があるわけでもない。結局少女の話を聞いてやることしかできない無力さが何とももどかしいのです。
それでも、少女を見守りながら境遇を少しでもよくしてやろうと頑張るドブネズミの姿についつい感情移入してしまいます。ですが白馬の王子さまのように紳士的にはいかず、比喩と皮肉たっぷりの悪態をつきながら奔走するのが何ともドブネズミらしい。
手を変え品を変え繰り返される、下品でしかない比喩や…続きを読む - ★★★ Excellent!!!★★★不幸な少女と少女に平凡な幸せをと願い続けるドブネズミの献身の物語
胸が痛くなるほど切ない、だけど優しい温もりに包まれている。
人語を解するドブネズミは、美人ではないが心優しくお人好しな少女の平凡な幸せを願い続けている。しかし、その願いとは裏腹に、少女には次々と不幸が押し寄せてくる。
それでもドブネズミは少女のために奮闘する。ドブネズミである自分にできることが限られていても、思うように体が動かせなくなっても。
少女を心から大切に思っているドブネズミが、少女を見守っている様子を語っているだけなのに、少女がどうしようもない不幸に転がり落ちて行くのが痛々しくてつらいのに、文章が強烈な引力を持っていて、続きを読まずにはいられない。
特にネズミの語り口調やネズミ…続きを読む