夜に産まれた者=全員兵士
友浦乙歌@『四次元の箱庭』出版しました!
あなたは昼生まれ? 夜生まれ?
産まれた時太陽が出ているか出ていないかで、その後の人生が分かれる。
夜に生まれた赤ん坊は、その場で国に引き取られる。
彼らには兵役義務が課せられ――
夜になると街を襲う死獣と戦う危険な仕事「夜勤」の兵士として、国に育てられるのだ。
夜生まれの十六歳、滝本一琉もその一人。日が落ち、新宿区が銀色のシェルターに覆われる頃、死獣はどこからともなく現れる。一琉たち夜勤は、八九式小銃と、高度文明期の遺物である太陽光線銃を手に、今夜も戦闘を開始する。平和で恵まれた昼生まれの街を守る為に――。
※以下ネタバレ有あらすじ(第二回ファミ通文庫大賞用)
産まれた時太陽が出ているか出ていないかで、その後の人生が分かれる。「夜生まれ」は太陽の下では生きられない。生まれてすぐ国に引き取られ、夜に街を襲う「死獣」と戦う危険な仕事「夜勤」の兵士として強制的に育てられる。
主人公・滝本一琉は夜生まれの十六歳。コンプレックスを抱きながらも夜勤兵として、日夜死獣と戦っている。ある日仲間が死んだ。自暴自棄になって夕方の基地を歩いていると、昼生まれらしき迷子の少女野々原まひるに遭遇。彼女は記憶を喪失していた。
「昼」の街に出かけるなど、仲間達と記憶探しを手伝う。まひるが記憶を取り戻したのは、壊れた光線銃を彼女が直したことがきっかけだった。半滅した過去時代の、失われた高度技術(ロストテクノロジー)で作られていて、現在の文明では修理できないはず――。まひるは、自分はロストテクノロジーを利用した研究施設によって生き返らされた死者だと打ち明けた。そして、死者蘇生の副産物として、「死獣」が生み出されているのだということも。「昼生まれが私腹を肥やすために行っている死者蘇生のせいで、俺たち夜勤は命を散らして戦わされていたのか!」激昂した一班は、再び囚われてしまったまひるを奪還し、昼の悪事を世に知らしめるため、研究所襲撃を企てる。
しかし、仲間だったはずの委員長が裏切り、情報は筒抜け。彼女や夜勤上層部が、今までなぜ事態を看過してきたかというと、「特定の人物を生き返らせてもらう権利」のためだった。一琉の説得により、ここにある今を生きると再び戻ってきた彼女は、新夜勤会を組織し、襲撃を成功させる。死獣が暴走を始めるが、まひるが提示した「光線銃の本来の使い方」により、死獣は未来永劫に消滅、そして夜生まれも、太陽の元で生きられるようになる。待ち望んでいた変化のはずが恐怖を覚える一琉。だが成長した彼は、新しい街で生きていこうとする。…続きを読む