概要
産まれた時太陽が出ているか出ていないかで、その後の人生が分かれる。
夜に産まれた赤ん坊は、その場で国に引き取られる。
彼らには兵役義務が課せられ――
夜になると街を襲う死獣と戦う危険な仕事「夜勤」の兵士として、国に育てられるのだ。
夜生まれの十六歳、滝本一琉もその一人。日が落ち、新宿区が銀色のシェルターに覆われる頃、死獣はどこからともなく現れる。一琉たち夜勤は、八九式小銃と、高度文明期の遺物である太陽光線銃を手に、今夜も戦闘を開始する。平和で恵まれた昼生まれの街を守る為に――。
おすすめレビュー
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- ★★ Very Good!!筆者の想いは伝わった。
夜勤というとただ夜にやる仕事で朝になれば帰宅するものである。
この小説に置いての夜勤は生まれた時間でその後の生き方が決まってしまう世界から始まる。
主人公滝本一琉が日々の夜勤をこなす中現れる女性によって自分たちの存在理由などについて静かに明らかになっていく。
文章内にでてくる銃の描写や今ではあまり見かけない言葉の使い方などSFだけでない面白さが特徴的。
個人的な感想として少し読みにくいと思いながらも話の組み立ては面白いです。ただキャラクターそれぞれの魅力をもう少し出してほしかったという点と説明のような文章が長くなりだらだらしてしまっているのが気になってしまいました。
しかしながらもこの話を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!生まれた時間が人生を変える。
この世界には昼生まれと夜生まれが存在し、そしてその生まれた時間の差で大きく人生が変わる。
昼に生まれれば、楽しく未来の可能性なんて無限にあるような暮らしが待っている。
一方夜に生まれれば、たちまち人権などなくなり“夜勤”として死獣と戦う運命を背負わされる。
死獣は毎夜毎夜現れ、激しい戦闘で仲間を失うことなんて当たり前。かといって昼の太陽は有毒で、夜生まれは昼の世界で生きてはいけない。
夜生まれにとっては理不尽で、でもどうしようもない宿命がこの世界にはあった。
主人公はそうした世界に抗い、ある少女との出会いによって世界の謎にも向かっていく。
昼生まれ/夜生まれ という斬新な設定…続きを読む - ★★★ Excellent!!!過酷な社会派現代ファンタジー
出産から始まる鮮烈な幕開け、八九式小銃の重み、夜に跋扈する死獣。
息をもつかせぬ展開に引き込まれました。
ある種デスゲームのような雰囲気が漂う序盤ですが、
その後には緻密な日常が描写されます。
夜に生まれた者は夜しか活動できません。
学校へ行っても窓の向こうは真っ暗闇。帰宅すれば、夜明けとともにベッドに潜り込まなければなりません。
どこか不健全な生活は、夜生まれである「夜勤」の歪さを象徴しています。
夜勤は死獣に対する防衛手段でしかなく、一般的な労働による生産性を備えることが出来ません。
ゆえに夜勤と昼生まれの間には埋めがたい格差が存在します。
文化レベルで隔絶しているといっても過言では…続きを読む - ★★★ Excellent!!!銃把を手に死獣を屠る……これもまた、青春なのか……!
同じ空間を共有しながら、格差社会や階級社会などというレベルではない、最早分断され二つの世界となった〈昼〉と〈夜〉。夜に生まれ兵役を課せられ〈死獣〉との戦いに明け暮れる若き主人公の鬱屈した視点から、そんな文字通り〈光〉と〈闇〉の世界のやるせない対比が、ある種の諦観を漂わせつつ描かれているのですが、その薄暗い雰囲気が堪らなくいいんです!
ロストテクノロジーの鍵を握る、とある少女との出会いを境に、主人公とその仲間たちは運命を大きく変えるような出来事に直面し、やがて事態は思わぬ方向へ転がっていくのですが、点在していた凡ての謎が一つの線で結ばれたときの衝撃たるや……! この瞬間を未読の方々にも是非味…続きを読む - ★★★ Excellent!!!貴方は昼生まれ?なら良かった。夜生まれ…頑張ってください
出生した時間が昼か夜かで、人権もその後の人生も決められてしまう世界が舞台です。
夜生まれは制度上だけでなく、身体的にも太陽の下を歩めぬ運命なので、仕方がない部分もありますが、兵役で死獣という化物と戦わされ、命を危険に晒して生きるしかない。
それでも、人々の生活を脅かす化物との戦いや己の職務に誇りを持って生きる夜生まれたちは気高く美しいです。
が、彼らの決意を揺るがす事実が発覚し、夜生まれの少年少女たちは立ち上がる。
終盤の委員長の演説シーンがとにかくかっこいい。強く賢い女の子はそれだけで魅力的なものです。
そして、物語はある意味意外なラストを迎えます。
読みやすく、理不尽で不可思議…続きを読む