第3話 初めてのLARPゲーム体験

 記念すべきLARPゲーム初体験は、2012年7月29日。キャッスル・ティンタジェルで開催された、第2回カーミニアLARP「テンプル・オブ・ユニティー」だった。屋内でのゲームである。


 本当は第一回から参加したかったのだが、諸般の都合でどうしても第一回は参加できなかったため、満を持しての参加となった。今でも、あの胸の高鳴りを覚えている。


 自分のキャラクターは熟考した結果、自身に予算が無く、装備も衣装も極限まで安く揃えたかったので、防具を忌避しているエルフのプリーストとした。LARPゲームはとにかくしっかりと衣装装備を整えるとなると、かなりの金額になってしまう。


 継続するための苦肉の策であったが、結果的に見栄えも悪く無く、その後のLARPサークル立ち上げやLARPゲームを広めるために役立つこととなった。ちなみに、LARP武器だけはなんとか予算を捻出してダガーを一本購入している。


 私のプレイキャラクターとなるモニカは、非常に明るいキャラクターだ。祝いと祭りの神フロイデを信仰しており、エルフのくせにチャランポランで好戦的。規律に厳しい兄から逃げるようにエルフの森を抜け出て冒険者になった。これは、自分と一番近い性格でもあり、私が初回のゲームキャラクターによく使う手である。演技ロールしやすく、動きやすい。


 さて、今回のシナリオは、神殿にある複数の神の試練をこなし、最終的に依頼人を救う、解決するというものであった。これが非常に面白く、皆それぞれに得意な分野で試練をこなしていく。自分が担当したのは、そのまま自身が信仰する祭りの神の試練で、なんとその場で自作の詩を書き、作曲せよというもの。


 これは正直困った。私はそんなこと、やったことは一切ない。しかし、何かあるはず、できるはずと悩んで、悩んで…ついに完成したのだ。単純なフレーズと単純な曲調、それでも完成したのだ。祝いと祭りの神フロイデを讃える、『チャランポランな歌』が!! この曲は同じフレーズとメロディを繰り返しながら、歌詞を載せるだけで歌えるものとなっている。モデルにしたのは童謡だった。


 この歌は皆の好評を博し、GMをやっていたニコさんも大いに驚いてくれた。なんでも、「この試練は特に日本人には難しいだろう」と思われていたそうだ。それを聞いて、私のドヤ顔が一層ドヤァ!!となったのは言うまでもない。どうだ、日本人がやってのけだぞー!!


 そしてなんだかんだで、皆様々な試練を解き明かし、ほとんどベストエンドという形でセッションを終了することができた。LARP初体験となったこのゲームで、私は大勝利を収めたことになる。このゲームは今後のLARPゲームライフを決定付けるほどの楽しさを極めた。本当に、本当に、こんなに胸躍るゲームが、かつて存在しただろうか!?


 かくして、日本のLARPゲーマーである雛咲 悠が生まれたのである。

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