第2話 カーミニアLARPのワークショップに行こう

 さてさて、カーミニアLARPのワークショップにいざ向かう。この時はまだ彼氏だった、今の旦那(星屑:現レイムーンLARP代表)も一緒だ。


 普段着でほいほいと行くと、そこには結構な人数の参加者たち。20名くらい? キャッスル・ティンタジェルそのものの生徒さんもいたようだが、それ以外の人たちもいるらしい。


 しばらくすると、キャッスル・ティンタジェルでよくイベントで会う、杉浦敦崇氏と、それからStephan氏、そして…初めて見るドイツ人の人? 少し天然パーマなのか、ふんわりした髪型…柔和な顔立ちで、薄く綺麗なグレーの瞳をしたドイツ人イケメンがそこにいた。彼こそが、後に深いお付き合いとなる、ニコ・シュタールベルク(※1)その人だったとは、当時私は思いもよらなかったのである。


※1)ニコ・シュタールベルク…現在、日独ゲーム代行機関JDSAを立ち上げ運営している代表者。日独間のゲーム関係の翻訳や代行を行い、グループSNEにも関わっている。LARPゲームにも明るく、日本初の和訳LARPゲームルールブック「パトリア・ソーリス」を杉浦敦崇氏と共に作成した実績があり、このカーミニアLARPを立ち上げる切っ掛けになったのも彼の一言。まさに、日本にLARPゲームを運んできた初めての人間なのだ。


 彼らは、まずLARPとは何なのかを言葉で説明してくれた…けれど、さすがによくわからない。言葉は理解できるのだが、説明が理解の範疇を超えているというか、イメージがつかないのだ。


 そんな事態は想定内だった様で、彼らは次に、簡単なゲームのデモを見せてくれると言ってくれた。赤いタスキをつけたGMゲームマスター(物語の司会進行・ルールの裁定役) はドイツ人の彼が担当し、他の人間はプレイヤー、もとい、プレイヤーキャラクターとなる。そして、実際に判定する場面はこうなるとか、罠の存在、ひっかかるとどうなるか、鍵開けの判定の仕方などを、実際に演じてくれた。


 これがとっても私にはわかりやすかった! なるほど、TRPGと違ってダイスで判定するわけでは無く、スキルの有無、ランクの高さで判定するんだなとか、罠の解除などには実時間が必要になってくるんだなとか、そういう類のことが、これでほとんど理解できた。この時、私の中では、一気に心の中でLARPゲームの世界が広がったのを実感した。


 本当に、触って、動いて、演じて、没入感がすごい中で、ゲームキャラクターとして楽しむことができる。映画の中のように、妄想の中のように、それを自分が演じることができる。中世ファンタジー世界のあるあるが、その場で、目の前で、実行できる!! そのなんと、甘美な響きたるや…!!


 この日は戦闘のワークショップは行わなかったが、この時点ですでにテンションはうなぎのぼりだ。星屑と一緒に、帰りの電車で一所懸命、キャラクターの作成を考える。この興奮は、何にも代えがたい。


 自分のキャラクターが、現実に生まれ出でるのだから!!


 この後、さらに戦闘ワークショップも参加し、今度はチャンバラ戦闘の奥深さを感じた。同時に、心配していた身体能力の悪さに対する心配も解消された。「演技戦闘」という手法により、ゆっくりと剣を振る、武器を当てるのを寸止めにするなど、安全面に気を配ったルールが最初から課されていたからだ。


 これなら、私でも遊べる!!


 以降、ゲームスタートまでに、100均ショップや古着屋を回り、自分のキャラクターの装備をかき集めていくことになるのは、説明するまでもないのだった。

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