第27話 サンタが社会的にピンチに陥るゲームやってきた
さて、11月の大興奮も冷めやらぬ12月。
新たに、TRPG文華祭からずっとメンバーとして来てくれていたちまさん(※1)をコアスタッフとして迎え、コアスタッフ4名体制で運営していくことが出来るようになった。
※1)ちま……勢いと元気と前向きな活発さが輝きまくる、女ゲーマー。なんと、TRPGもまだそこまで経験していないにもかかわらずTRPG文華祭に飛び込んだ上、そこのワークショップでレイムーンLARPに魅せられやって来た。既存コアスタッフにはクリエイターが多い中、営業・情報拡散という今までに無い才能をいかんなく発揮し、現在までレイムーンLARPの運営を支えている。
しかし、しかしである。
またもや我々は、シナリオ構築に難儀していた。
「うおお……そ、そろそろネタがなくなってきたな」
「でも我々はシナリオを作り続けなければならぬ……あっ。そういえば、次のゲームは26日だよね? クリスマスの翌日」
「うんうん」
「わかった。サンタもので行こう!!」
という安直な理由で、クリスマス&サンタ・クロースなゲームが唐突に決定した。野外LARPゲームまでは怒涛の流れとシリアス展開も続けいていたので、ここでひとつ、コミカルで肩の力を抜いてゲームができるものも作りたかったのだ。
というわけで、以下が実際にサイトに掲載されたあらすじである。
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世間はユール祭の真っ最中。新米冒険者たちはお祭り気分の中、踊る野うさぎ亭に居た。
そんな朝、突然飛び込んできた謎の男の子。(※2)
「お願い! サンタ=クロース様を助けて!!」
果たして『大精霊サンタ=クロース』とは何者なのか?
次々と攫われる幼女たち!
サンタ=クロース魂の叫びとは!?
今世紀最大の社会的なピンチが大精霊を襲う!!!
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(※2)……男の子は後に女の子に変更されている。
幼女が攫われたり、社会的ピンチと書いてるあたりで、嫌な予感しかしない。
さて、ここで参加状況を見ると……
「おおっと……なんてこった。新規参加者がすごく多いよ!」
これは嬉しい悲鳴に違いないが、とにかく参加者が多い!! その数、PC・NPC・スタッフ・見学者合わせて、実に過去最高数17名である。ぶっちゃけ、今回の会場のプレイ定員ギリギリと思って頂いて構わない。
つまり、新規やルーキーな参加者だけで1パーティーできてしまうほどの人数だ。
これは……もしかすると……
「よし、今回はこうしよう。古参メンバーからの挑戦状セッションだ!」
つまりは、今まで参加してきてくれたメンバーさん達にお願いしてNPC役になってもらい、逆に新規・またはルーキー参加者のみでパーティーを組んで冒険してもらうのだ。後日打診してみた所、当日参加のメンバー全員にOKを頂けた。
当日までにゲームの趣旨を説明し、色めき立つ新米メンバー達。
「だ、だだだいじょうぶかな」
「辛かったらちゃんとGMからサポートするから、だいじょーぶ! 先輩達はまさにあなた達と同じ状態でやり始めましたし!」
もちろん、その分ストーリーラインはわかりやすく、非常〜にわかりやすく、コミカルに仕上げさせて頂いた。これなら、初参加の人たちも無理はないだろう。
そう、今回の初参加の方々は、なんと一般人である。素敵なご夫妻で、たまたまメンバーさんのお知り合いとして参加して頂けたのだが、今までレイムーンLARPの外部参加者は大体がTRPGや何らかのゲーム体験者。ほとんどこういったゲーム経験のない方々をサポートするのは初の事だ。
「あの、キャラクター作成ってどうすればよいのでしょう?」
「服装ってどうすれば?」
「呪文ってどんな風にするのでしょう?」
これは完全サポートする必要があると判断した我々は、かなり負担が少なくて済むパッケージングを組み、お二人にご希望の戦士と魔法使いをやって頂くことになった。
余談だが、一番ゲーム経験ゼロであるはずの奥様が、一般ゲーマー的にはその複雑性で忌避しやすい魔法使いを選ぶとは……素晴らしい……!! とひたすら驚嘆したのは言うまでもなく。実際のゲームでは、見事に呪文詠唱して攻撃魔法を炸裂させており、「初心者とは……?」となっていたスタッフ一同だった。
さらに……
「代表! プロの動画作成の方が、うちの撮影やりたいって仰ってくれたで!」
「マジでか」
なんと、動画作成事業を行っているNOAH-Presso(※3)さんの手によって、直々に撮影をして頂けるというありがたいお話!!
実は今までに何度か写真撮影や動画を作成しているものの、あくまで我々はプロではなくアマチュア。本当にプロのテクニックによる撮影はしていないため、写真の魅力が今一つ欠けてしまっている状態だった。これはひたすら感謝である。
(※3)NOAH-Presso……WEBサイト、動画、写真撮影をメインとし、コンサルティングも手掛ける。動画はさすがの洞察力と撮影移動により、ゲームをしていても全く違和感なく溶け込める撮影を実現しているのはお見事。写真撮影は「何を伝えたいか」をきちんと切り分けた撮影を行なっていて、プロの実力を感じた。
というわけで、NOAH-Pressoのお二人も揃っての、かなり大人数なゲームの当日。いつもより新規の人間が多いため、いつも以上の活気。NPCのメンバー達も心なしか生き生きとしている。簡単な戦闘の説明とルールの説明を終えつつ、いよいよゲームスタートとなった。
ゲームのスタートは、いきなり真っ暗闇で、パーティーの中では成人以下の少女達二人が、不意に暗闇の中で出会う。
「あれ、ここはどこ?」
「あれあれー、あなただあれ?」
お互いに全く顔の知らない、見知らぬ二人の少女達。すると、ぽうっと明るい光が灯され、ランプを手にした一人の赤い服を着た老人がやってくるではないか。
「わしはサンタ=クロース。こどもたちよ、わしの力になってくれんか」
実に暖かい演技でもって、メンバーZorakさんのサンタ=クロースが光る。彼は、踊る野うさぎ亭にこれからやってくる一人の少女の願いを聞いてやってほしいと言うのだ。不思議に思いつつも快諾する二人。
直後、目が醒める。これは夢だったのだろうか──?
翌朝、新人冒険者が踊る野うさぎ亭に入ってくるなり、夢の中で出会った二人が声を上げる。
「あれ? 会ったことあるよね?」
「あれ、確か夢の中で……!!」
そこへ、「サンタ=クロース様を助けてー!!」と転がり込んでくる少女クリム。
運命の歯車は、踊る野うさぎ亭の冒険者達を巻き込んで、文字どおり社会的にとんでもない冒険に繰り出されようとしていた──
というのが、大まかなプロローグである。
村に着くなり、サンタに幼女誘拐の疑惑が立っていたり、村の外に出てみたら、メンバーのカトゥー氏渾身の怪演によるサンタ服っぽい超変態ロリコン紳士が現れたり……いつもの
……実は、このゲーム。幼女だのロリコン疑惑だの、色々とこう、くだらなくてギリギリな路線ではあったものの、五感を駆使したギミックを多数設けており、抱腹絶倒の種明かしもあって、おそらく今までの30回を超えるゲームの中で(コミカル的には)最高峰の評価を頂けたゲームとなった。
そのため、このシナリオは毎年の12月にサンタシナリオとして同じシナリオを未経験の外部プレイヤー達を招き、楽しんでもらえる企画にしたいと考えているので、ここからのシナリオの詳しい紹介はご容赦願いたいと思う。
しかしそのあと、NOAH-Pressoさんによる渾身のこの第32回「聖夜はサンタ=クロースと共に?」のPVが作成されたので、是非その目でご確認頂きたい!
第32回LARPゲーム「聖夜はサンタ=クロースと共に?」_レイムーンpresents
https://youtu.be/5ItnhSpq4QU
かくして、12月のゲームも大成功。残すは、C89コミックマーケットを残すのみとなった。もちろんこの日もサークル参加し、実はここまでの間に、大きなプロジェクトを同時進行していたのである……
もちろんそれは、
『簡易汎用ホラーLARPルールブック メメント・モリ 完全版』
こちらの正式版リリースなのだった!!
我々の戦いは、まだ始まったばかりなのだ──
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