第46話 第2の国内サークル!香川県ダンデリオンLARP

 それは、ツイッターの小さな小さな一言だった。


「LARP、めっちゃ面白そう!」


 当時可愛いヒツジのアイコンをつけた、ユイエさんの一言。

 LARPで単語検索をすると様々な人々のLARPへの言葉を見かけるようになってきた中で、それもまた、小さな「芽吹き」の言葉だった。


 その言葉がきっかけとなって、日本で二番目のLARPサークルを香川県で産まれることとなろうとは───本当に運命とは、素敵なものだ!


 そんな、香川県に住むユイエ(※1)さん。後に2016年にて香川県LARPサークル「ダンデリオンLARP」を立ち上げる代表との出会いを綴ってみよう。


 (※1)ユイエ……主にツイッター上で活動している香川県のアナログ主婦ゲーマー。TRPGもボードゲームもライトに楽しみ、どちらかというとコンシューマ・モバイルゲームを楽しむゲーマーだったが、今や香川県を代表するLARPゲームサークル主催に!


 ツイッター上でそう話していた彼女に、たまたま著者が話しかけた。それが初めての出会いだ。特に中世ファンタジー世界に夢中になったらしい彼女は、様々なレイムーンLARPのツイートをたくさん読んでくれたようで、まだ見ぬ世界に心が踊っているようだった。


 実際の所、LARPサークルを主催すれば分かるが(そしてLARPサークルに限らない話でもあるが)、楽しいだけではなく、色々と大変だったり、時には悩んだこともある。人間が体を動かすコミュニケーションゲームだから、無理もない。


 しかし、それでも今続けていられるのは、その時ユイエさんが見せてくれた「最初の熱意とワクワク」これに。これがあるから、「やっぱり楽しい!」と主催を続けられるのだ。


 ユイエさんには、本当にその小さな「火」を見ることができた。

 そしてそれは少しずつ、少しずつ、煌々と燃え上がり───


 2016年7月初旬。

 京都LARPセミナーを開催した折、ついに彼女と出会うことができた。彼女は香川県から京都まで、健気にも大きなスーツケースを転がしながら、「LARPゲーム体験ができて、サークル運営者への話が聞ける!」とやってきてくれたのだ。


 これは、掛け値なく、本当に、心底嬉しかった!!


 なぜなら、これを私たちは3年間待ち続けていたのだ。3年間である。別の記事にも書いたが、この火を灯し広げるために、認知を広げる活動をした。サークル運営ノウハウを伝える同人誌も作った。もっと拡散させるために、イベントも起こした。しかしそれでも3のだ。火を灯せる人間に届けることができないでいた。


 それを、彼女は初めて、掬い上げて、飲み込んでくれて、彼女の心の中で暖かく火を灯し続けてくれた───だからこそ、この場を借りて心から、お礼を言いたい。


 本当にありがとう。ユイエさん。


 もちろん、その後続き団体を立ち上げてくれる皆さんにも、同じ気持ちだ。しかし最初の彼女のサークル立ち上げへの行動が無ければ、続いて産まれるサークルもここまで増えはしなかっただろう。ワクワクと楽しさを伝えていくには、まだまだ時間がかかったに違いない。


 かくして、彼女は初めてのLARPゲーム体験(ほんのちょっとのシーンを3つほど)してもらった。その後の彼女の目の輝きようと言ったら!


「もっともっとやりたいです!」

「いつか香川県にLARPサークル団体を作りたいんです!」


 そう言って、キラキラとした目の輝きをたたえながら、未来について想いを馳せるのだ。


 ああ、彼女は、今、未来に歩み始めている。

 きっと、近い将来のうちにそれは達成できることだろう。


 しかし、同時に私はドキドキしていた。


 このエッセイも含めて、至る所で失敗談は語っているけれど、ここには書けないような、とその対処法も彼女に伝える時が来る。いわば、レイムーンLARPはトラブルに関しても貴重な日本での「モデルケース」だ。それも伝えなければ、意味がないとさえ著者は思う。


 だが、彼女はそれを聞いてどう思うだろうか。伝えなきゃいけない、でも伝えたら……どうしよう? そんな風にドキドキしていた著者であったが、実際に話す日は、そう遠からず訪れる。


 2016年8月19日。

 ダンデリオンLARP、香川県LARPサークルとして正式スタート!


 というわけで、著者はいよいよ腹をくくり、意を決してユイエさんに全てを話した。


「色々驚くかもしれないけど、私たちは広めるために、あえて出さないようにしていることもあるのです。そこを今回は、代表となるユイエさんに知ってほしい」


 運営していく上でのノウハウに加えて、どんなトラブルが起こったのか、その具体的な話と、私たちが対処した方法。ここでは敢えて書かないが、表に出さないイロイロには違いなく、実際ユイエさんも驚きの色を隠せなかったようだった。


「うわああ……裏でたくさん努力しておられたのですね。びっくりしました」


 しかし、全てを聞いて、しかし真っ直ぐに───こう、返してくれたのだ。


「話してくれてありがとうございます、ゆーさん。大丈夫です……改めてこれで、覚悟を決めることができました! 私、LARPゲームサークルを立ち上げたい。それも全部ひっくるめて、やりたいんです!!」

「……!!」


 ああ、私が心配する必要などなかったのだと、その姿を見て思った。


 ユイエさんはもう───サークルの代表として歩めるほどに、小さな「火」から、しっかりと燃え輝く「炎」にまで育てていたのだ!


 ダンデリオンLARPは現在、香川県のサブカルイベント「ときこす」(※2)にてイベントスペースを設けながら、様々な香川県の人達に対して、LARPゲームの楽しさ、面白さをまずは認知してもらい、広めるために頑張っている所だ。ゆくゆくは中世ファンタジー世界でのサークルゲームを企画しているとのこと。


 (※2)ときこす……香川県にて開催されている総合サブカルイベント。常磐町商店街をはじめとした商店街を舞台に、コスプレやサバゲー、パフォーマンスステージ、ボードゲーム等、様々なサブカルチャーを体験できる。最近はここにLARPも加わった。


 総合サブカルイベント「ときこす」公式サイト

 http://tokikosu.com/


 ちなみに、先日ダンデリオンLARPが「ときこす」で実際に参加した所、驚くべき反響を獲得したとのこと。ダンデリオンLARPのときこす活動記録はこちらにまとめられているので、是非ご覧頂きたい。


 2016年11月6日「ときこすLARP展示会・体験会」ダンデリオンLARP

 http://togetter.com/li/1046687


 公式blogより 第四回ときこす「ときこすLARP」

 http://blog.livedoor.jp/dandelion_larp/archives/9133946.html


 余談だが、サークル名称である「ダンデリオン」は著者の案が由来である。ユイエさんが名称について悩み相談を受けた際に、私たちはこんなことを話した。


「レイムーンLARPにも関連あるような名前にしたいんです。ムーンに関連して太陽だったらいいかなって」

「うんうん、太陽はお日様ポカポカな感じで、ユイエさんの代表のイメージとしても合ってる気がします」

「ありがとうございます。だとすると、どんなものがいいのでしょう…? どれもしっくりこなくて困っています」

「ふむ……(『幻想ネーミング辞典』を捲りながら)……ダンデリオンってどうかしら」


 ダンデリオン。元々はタンポポのことだ。タンポポはお日様の象徴でもあるし、タンポポというイメージも、ユイエさんのような暖かなイメージがあって良い。そう思ったのだった。


「あと、タンポポの綿毛は空を飛んでたくさん周りに広がっていくでしょう?」

「いいですね、すごく良いと思います! 語感もかっこいい!」


 そして、ダンデリオンLARPは誕生した。

 その名前のように、暖かくポカポカと香川県のLARPを照らし、綿毛のように伸び伸びと広がっていってほしい。今後の活躍を、乞うご期待である!


 香川県LARPサークル「ダンデリオンLARP」公式blog

 http://blog.livedoor.jp/dandelion_larp/


 香川県LARPサークル「ダンデリオンLARP」公式ツイッター

 @dandelion_LARP

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