第17話 始まりは暁払奇襲──さあ、リベンジだ。

 前回で初の全滅という、とんでもないことになったレイムーンLARPの冒険者たち。一行は復活したものの、そもそも敵陣に姫をさらわれるという大ピンチ状態。


 ちなみに設定としては、フェレス姫は王族にしか使えぬ特殊な力を持っているというものがある。少し前の冒険で冒険者たちと共闘した際も、王族しか入れぬ塔の入り口を右手の甲の痣を光らせることによって出現させたり(※1)しており、この力によってプラータ王国を守護する特殊な魔法結界を破る手段として使われる恐れがあった。ぶっちゃけ、本当に国の大ピンチである。


※1)…ここの演出は、右手に透明の手袋の中にタッチ式ライトを仕込んで、本当に光らせた。


 超ロイヤルをシナリオに絡ませると、事故った時に話がでかくなりすぎる。それを痛感しつつも、我々スタッフは冒険者たちがリベンジできるシナリオを練る必要があった。


「ねえ、となるとこれ、すぐにでも姫の力を使って結界破って、妖魔たちが大戦争しかけてこない?」

「来たね……レイムーン戦記」(キリッ)

「冗談でもやめてくれ」(真顔)

「そうならないとなると……妖魔側は、すぐに動いてこないことになる。何かトラブルが発生したんじゃないか?」

「姫が使えないよー的な?」

「よし、まずはそこの情報を集めるあたりを作り出そう」


 というわけで、全知を知るかもしれないと言われる魔獣スフィンクスに話を聞きに行くというシナリオを作り出す。彼女は非常にユーモラスであり、会いに行くためには数々の難問を突破しなければならないという「叡智の迷宮」に向かわねばらならない。以下が、そのリポートである。


 第16回ゲーム「叡智の頂点への挑戦」リポート

 http://togetter.com/li/726499


 数々の苦難を乗り越え、やっとの思いで到達した最奥の部屋。そこで待つスフィンクスの最後の謎にも答え、彼女の賞賛と共に得られた情報は──


 結界の排除は、フェレス姫の意思が伴わないと完遂できない。しかし姫は元々各種耐性スキルを持っており、毒や魔法による洗脳が不可能だった。だとするならば、フェレス姫に無理やり妖魔(ダークエルフ)との子供を産ませて、その力を引き継がせ、その後に妖魔大侵攻を行えばよいではないか……という、実におぞましい計画!


 というわけで、なんとか時間稼ぎができた冒険者たちと我々スタッフは、次のシナリオにて、いよいよフェレス王女が囚われているという遺跡群が立ち並ぶ「塔の森」へと潜入、姫の奪還作戦へと繋いでいったのである。

 こちらもリポートがあるので、ぜひ読んでいただきたい。


 第17回ゲーム「始まりは暁払奇襲、混沌の姫を奪え」リポート

 http://togetter.com/li/728747


 第18回レイムーンLARP「胎動する魔、切り裂くは暁の光」リポート

 http://togetter.com/li/803106


 作戦は無事成功し、強敵を倒しつつ、フェレス王女を奪還。なんとか大団円を迎えることとなった。国と姫を救った英雄としてこの時の冒険者たちは讃え挙げられ、女王謁見へ。直々に褒美の願いを聞き届けられ、さらに『暁の冒険者』という名前と共に、プラータ王国中に7名の冒険者たちの名前が知れ渡ることとなる。(※2)


※2)…この時、3Dプリンターを持つメンバーさんにお願いして、特別なオリジナルデザインの王宮メダルを作成してもらった。これこそが暁の冒険者の身元を示せるものとなるのだ。


 女王謁見の様子は、次のリポートの前半に記載している。傍目から見れば単なる公共施設の一室であるはずなのに、物凄い緊張感の伴った謁見シーンとなった。


 第19回レイムーンLARP「暗雲渦巻く城の闇」リポート

 http://togetter.com/li/878963


 かくして、逆境に立たされた冒険者たちはもちろん、同じく冷や汗をかいたスタッフ陣もリベンジを果たせる結果になることができた。ピンチがチャンスになるとは、まさにこのことかもしれない。とはいえ、


 もう二度とこんなことはやらんぞー!


 ということは、スタッフ全員の肝に命じられたのである。

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