第19話 出陣!! ニコニコ超会議2015 〜後編
2015年4月26日。我々は颯爽と幕張メッセに降り立った。今回は星屑さんが書生さんの格好を、私がエルフとなった。中世ファンタジー感と、試作品として作った「メメント・モリ」の世界観を表すが如く、現代ホラーを表したかったためだ。
なんでもいいが、この星屑という男。着流しに丸メガネと、まるで映画の世界から抜け出てきたような出で立ちで、なんとも風流である。眼福。
そんな話はどうでも良いとして。
スペースに訪れると、いつものコミケと全く違った感覚だ。スペースの大きさは幅広く、展示物もたくさん置ける。スペースに立つサークルもいつもと毛色が違っている。先日のラジオの錚々たるメンバーと共にここに立てるということの楽しさ。早くも、心が躍るような想いだ。
いよいよ会場スタート。どっとお客さんが詰め寄ってくる。しかしコミケに比べて割と多趣味なものが周りにある配置のため、そこまで大挙して押し寄せる雰囲気ではない。のんびりと私たちは待っている形となった。そんな中、1人のお客さんがやてきた。
「あの、これはどんなゲームなのですか?」
「はい、これは──」
嬉々として説明しようとして、
────────!!!!!
真後ろから響き渡る巨大なスピーカー音。なんと、メインライブステージが後ろで開催されていたのだ。まるで声が通らない。
「──で、──なんです」
「え、なに──え?」
「だから、───、──で!! ──なんですー!!」
お客さんもこちらも、まるで声が聞こえない。なので、手振り身振りで説明していくしかなかった。あくまで著者の主観だが、説明するには不自由な環境に感じた。そんな中、我々の格好はゲームそのものを表しているわけで、視覚的にある程度伝えられて良かったかもしれない。
とはいえ、メインステージでは時折人気のニコニコ曲や、ミュージシャンが歌いまくってくれたので、ボルテージはMAXである! 個人的に、初音ミクの曲が生の音でたくさん聞けたのは本当に嬉しかった。
さて、肝心の参加状況はというと、やはりコミケに比べて反応は鈍い。しかし、本当に心からチェックしてくれていた人や、業界の方々にたくさん寄ってもらえることとなった。特にインセインのLARPゲームをやってみたいとツイッターで著者が呟いて以降、様々にお話させて頂いた河嶋陶一朗氏(※1)が来てくれたことは本当に嬉しかった。
※1)河嶋陶一朗…冒険企画局にて「サタスペ」「シノビガミ」「インセイン」など、様々なルールブックを作成しているゲームデザイナー。大きな体躯に髭が印象的ながら、とても丁寧に話される方である。
中には、全く我々の存在を知らないであろう一般の方に怪訝な顔で見られたり、「こんなゲーム、子供にさせない! いくらかかると思ってるんだ!」と口に出して子供の手を引っ張り通り過ぎた親子も居たが、その気持ちは分からなくもない。ただ、欧米ではその子供にLARPゲームをさせることにより、窮地の際の判断力や、情操を養う教育もあるのですよ、ということをその親御さんに聞かせたかったものである。いやはや、残念だ。
そんなこんなで、売れ行きはそれほどではなかったものの、コミケとは別の意味で濃い時間を過ごせたと思う。一般の方々にも目に触れることができたんじゃないだろうか? どちらかというとそっちが目的ではあったので、そこが達成できただけでも満足だった。
そして最後に── 一際大きな歓声が、バックステージにこだました。
──幸子だ!! 小林幸子が!! ラスボスが千本桜を歌っている──!!
その圧倒的声量と美しい声音に、全員スペースから立ち上がり、うっとり眺める。小林幸子の千本桜は、サブで聞いてしまうには勿体ないほどの素晴らしさ。これだけでも、この場所に来た価値があろう!! いやマジで!!
そして最後のカウントダウンと共に、ニコニコ超会議2015は終了。紙吹雪を散らし、すべてのイベントは完全に幕となった。そして、TRPG即売会も。
全く繋がりのなかったニコニコ動画TRPG勢と繋がることができ、またとない体験をし、なんだか不思議な世界に迷い込んでしまったかのような酩酊感だった。
これが、これこそが、ニコニコ超会議。
新たな経験は、我々を大きく成長させる。それを大きく味わうことになったイベント参加だったのは、言うまでもない。
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