第4話 初めての「野外」LARPゲーム

 そして、何度かゲームを重ねて、来たる2012年11月11日、「不幸の丘」に参加した。これは日本で初の野外LARPゲーム!! 埼玉県高麗川にある阿里山カフェのオーナー(オーナーは海外の方で、LARPゲームに深い理解があった模様)のご協力を得て、その深い山中でのゲームとなった。


 当日は天候がやや不安定だったが、ゲーム中は曇りのまま雨も降らず、そこで私は、貴重な体験をたくさん味わうこととなった。


 敵が出てくる時は、昼ごはんであろうとも出現して倒さねばならない。隙を見せたらやられるのである。半分は昼食を食べ、半分は見張りを立てる、という例のアレをやらなければならず、楽しいことこの上なかった。

 しかも、弁当を売りに来る商人たちが途中出没するのだが、気を許すといつの間にか荷物がスられている。酷い。まさに鬼畜の所業…!


 フィールドで出現する敵も死角からうまく回り込んでくる。 丘の下から来てしまうと、野外だというのに、 木々が邪魔して近づく敵を視認しにくい。それをまざまざと味わうのだ。これが楽しく無いわけが無い!!


 それから、とにかくフルで感じられる五感。


 風の匂い。肌を撫でる空気。

 土や枯葉を踏む感触。倒れるときの土の匂い。

 泥も構わず駈け出す瞬間。視界いっぱいの木々。空。

 両手いっぱい振り回して、どんなに駆けても壁にぶつからない、広いフィールド。


 山中のため、野外シーンは基本的に日没までにとなっていたけれど、帰る際にどんどんと暗くなる中、持っていた電気カンテラに灯りを灯せば、幻想的な雰囲気に包まれる。


 本当に貴重な体験の数々だった。言葉だけではとても言い尽くせない。

 ゲームそのものは残念ながら、ハッピーエンドとは言い難かったけれど、本当に楽しい時間を過ごしたのは間違いない。これを、もっともっと、存分に体験したいと私は思った。


 しかし、また野外LARPゲームを味わう機会を得るためには、ここからさらに3年が必要となったのだった。

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