第4章 第51話 8人の食卓

ミレイはテーブルの上にの料理を並べていた。


僕、健太、雄一、美咲、アリーは椅子に座って料理を食べる準備をしていた。


今日の料理は鍋だ。


アリ―が捕ってきた鳥と卵、僕が捕ってきた猪、美咲が採ってきたキャベツ草や調味料になりそうな草や花や実をミレイが調理して鍋となった。


鍋の締めには健太と雄一がねたうどんが用意されている。


そしてラポーナさんが今回の食事のメンバーの8人目、僕が【アベル商店の掃除機】で【せい】を……つまりめてる状態を吸い取ったために寝てしまったルナを起こしていた。


「ほらルナさん、起きてください、ごはんですよ」

「う~ん……もう少し寝かせて……」


ルナの寝起きが悪いのは意外だったが、起きていれば凛々しい美人だけど寝ていると少女のような可愛い寝顔だ。


ラポーナさんが何回か体を揺さぶってようやく起きたルナは最初どうしてここで寝てるのか分からずボンヤリしていたが


「高橋殿!勝負がまだついていないのじゃ!構えられよ!!」

と叫んだ。


ルナ以外の全員が笑った。


健太と雄一は苦笑い、アリーは大人しく口を塞いで静かに笑っていたが、ラポーナさんと美咲とミレイは腹を抱えて大爆笑していた。


「あ……の……ラポーナ殿、皆の者……何故……笑っておるのじゃ?」

ルナは顔を真っ赤にしながらラポーナにたずねて

「ルナさん、あなたはなぜ今まで寝ていたのか、思い出してみましょう」

と答えた。


「……思い……出した……私は高橋殿に槍を向けて突撃して……その後憶えていないのじゃが……」

「その時、ルナさんの【覚醒】を一郎くんにうばわれて眠ってしまったのです……そして今起きました」

「それでは私は高橋殿に眠らされて、今ラポーナ殿に起こされた……そう言う事になるのじゃが……」

「はい、その通りです」


ルナは信じられない顔をして茫然と立ち尽くしていたが、美咲に

「早くこっち来て一緒に食べようよ、私お腹空いた~」

と言われ

「私も一緒に食事を頂いてもよろしいのだろうか?」

ルナが答えるとラポーナさんが

「まずは食事を一緒に取りましょう、その後話をしましょう」

と言ったので、ルナは恥ずかしそうに椅子に座った。


ぬぅわべのぉ火加減ひぃかげんはぁわぁれまぁかぁせよぉ!」

雄一が魔法で鍋を火にかけ、火加減を絶妙に変えながら沸騰しないように調整している。

魔法の師匠から習ったのだろうか?実に手慣れてる。


鍋からいい匂いがする……そろそろ食べごろだろうか?

……と思ってたら、美咲が鍋から深皿に鳥肉、卵、猪肉、キャベツ草をバランスよく盛って各人に渡す。


雄一も一旦、火の番人を休んで美咲に鍋の具を盛ってもらう。


……鍋奉行 美咲の誕生だ……


僕はそう思いながらキャベツ草から口に入れる。

出汁が良くみてキャベツ草が硬からず柔らかからず丁度良い歯ごたえで噛めて美味うまい。


次に猪肉を口に入れる。

弾力がある歯ごたえ、ジューシーな肉汁、上品な味わい、口の中が幸せだ。


その次は卵。

卵を半分に切り黄身を食べると少しパサパサだけど、白身は柔らかく噛み応えがあり鍋の出汁と相まってこれも美味い。


最後に鶏肉を口に入れる。

程よい弾力の歯ごたえに皮の脂が出汁と絡まって旨味うまみのハーモニーを奏でてる。


「イチルウ、美味おいしいね」

アリーが僕に鍋のおいしさを伝えると僕も

「うん、美味うまいね」

と答える。


鍋奉行の美咲は器用に各人の深皿に盛り付けしながら自分の深皿から鍋の具材を口に入れて、また各人の深皿に盛りつけする。


「これは美味いのじゃ」

ルナもみんなに溶け込んでモグモグパクパク食べている。


「ご主人さま~美味しいかにゃ?」

イスに座ってる僕の膝でミレイが腕を組んで僕の太ももの上で甘えてくる。


「ミレイいつも美味しい料理をありがとう、今日の鍋も美味しいよ」

「美咲が教えてくれたからご主人様の世界の料理が作れたにゃ、ご主人様も美咲も大好きにゃ」


僕はミレイをネコのようにでると、ミレイは猫のよう満足げに目をつぶった。




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