第1章 第3話 自分の運命に従う

僕の名前は高橋一郎、掃除屋さ。


掃除屋というのはそのまんまの意味でスナイパーという意味ではない。

僕はこの世界にいる限り一生掃除をしないといけないのだ……


僕は王城の中庭でのラポーナさんとの会話を思い出してる。


「ラポーナさん、僕が掃除屋というのは本当ですか?」

「はい」

「掃除屋というのはスナイパーで遠くからひっそり敵を狙撃するという意味の掃除屋ですか?」


僕は少し身を乗り出して言うとラポーナさんは少し困った顔で言った。

「いえ、窓を拭く、ほうきを掃く、整理整頓する・・・そういう意味のいたって普通の掃除屋という意味です」

「じゃあ僕はこの世界では役立たずという意味ですか?」


僕はさらに身を乗り出して言うとラポーナさんはもう少し困った顔で言った。

「でもお掃除も大切なことですし・・・あ、高橋さまは掃除をすればするほどレベルが上がりスキルが増えて、佐藤さまがたのサポート役として重宝するかもしれませんし……」


僕はそのままラポーナさんの話を聞いた

「あ、そうそう、高橋さまだけではなく皆様も同様にレベルが上がればスキルも増えます」


ラポーナさんはクルリとひるがえり笑顔で胸の上で手を合わせて

「さあ皆さま、各職業の師匠のもとに行って修行をしてレベルを上げて、魔族を倒して魔王を倒してこの国を救ってください!」


……そして今、僕は空を見上げてまた思い出す。


健太は剣士の、雄一は魔法使いの、美咲は盗賊の、それぞれ師匠の下に行き修行へ行った。


僕には師匠はいないと言われたが、ついでに聞いた一言が僕に一筋の光明を差し込むのであった。


「魔王を倒したら元世界に戻れますよ」


ラポーナさんにそう言われた僕は・・・

頑張ってレベルを上げてスキルを身に着けてサポートして健太たちが魔王を倒して元の世界に戻る。


僕には目標が出来たのだ。


よくよく考えてみれば戦いは人任せで元の世界に戻れるのだから頑張ってサポートにてっしよう!


僕は街の中で一人ボーっと突っ立って通り行く人々に奇妙な目で見られながら想いをせた。


さて、どこから掃除したものか?

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