第1章 第2話 説明を受ける
僕たち4人はラポーナさんに連れられて中庭についた。
中庭には花壇があり沢山の花が咲く。
その沢山の花を尻目に中庭の中心部にある5人分の椅子とティーカップ、ティーポット、お茶菓子としてクッキーやマドレーヌなどが置かれたテーブル、その横にはメイドが2人立っていた。
「どうぞこちらにお座りください」
ラポーナさんは僕ら4人を椅子に座るように
2人のメイドが5人分のティーカップを並べてそれぞれ注ぐのをただ見つめる。
「そろそろ説明してい……」
健太が質問をしようとしたその時
「佐藤さま、お黙りください」
とラポーナさんが喰い気味に制した。
みんなは驚き黙ったので僕も黙ることにした。
「私は宮廷魔術師見習いとして皆様の名前と職業とスキルを知ることが出来ます」
「まず佐藤健太さま、職業は剣士、スキルは三段突き」
ほうほう……健太は剣士か。茶色い短髪で体が大きい健太にはピッタリだ。最前線で戦うかっこいい
「次に中村雄一さま、職業は魔術師、スキルは炎弾連射」
ふーん……かっこいいな……僕もこういうかっこいい
雄一は金髪で細マッチョだから魔術師ファッションも似合いそうだ。
そう思いながら、健太と雄一はアニメで観た異世界召喚の勇者のようで
4人は少しだけホッとした表情になった。
「続けて山田美咲さま、職業は盗賊、スキルは気配感知」
とラポーナさんが言うとみんな驚いた。
「私は泥棒をやるってことですか?」
小柄で細身の美咲はラポーナさんに向かって自慢の真っ赤なツインテールを振り乱しながら少し叫び、テーブルに手をつきながら立ち上がる。
ラポーナさんは美咲に見向きもせず表情も変えず説明を続ける。
「盗賊という職業は泥棒をするという意味ではありません。泥棒が使うスキルを使い、他の職業のサポートをすることを我々の世界では”盗賊”と呼んでいるのです」
美咲は落ち着きを取り戻しゆっくりと座った。
「解錠、忍び足、気配感知……これらは泥棒が便利に使うスキルですが、魔族討伐をするときにこのスキルを持つ者がいたらそれは便利なのです」
……ふむふむ、注意深くて思慮深くて臨機応変な美咲には合ってる
僕がボーっと考え事をしてると、ラポーナさんは続けて言った。
「最後に高橋一郎さまですが……」
少し申し訳無さそうに言った。
「高橋さまの職業は掃除屋、スキルはありません」
僕は普通だった。
髪型、身長、体重、全部普通で成績も顔も普通……
なのに、まさか職業も普通だなんて……
僕は超速理解した。あーアレだ、アニメで観た追放系のヤツだ……
これはハズレの異世界転移だ・・・もうダメだ帰りたいなあ……
この時の僕はこう思っていましたが、追放はされないし、まさか僕には特別な能力が用意されていたとは……
それはもう少し後に知る事となるのでした……
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