第1章 第20話 魔王討伐の王命
僕が気がついた時には僕の頭上には大きな足と思われるものがあった。
おそらくドミルガンのものだろう……
降ろしてくる足の軌道が変わる。矢が刺さってた。
「イチルウゥ!起きてぇー!」
遠くからアリーの声が聞こえる。きっとアリーが放った矢が僕を救ってくれたのだ!
この時点で自分は今ままで寝ていて今起きないと足で潰されてしまう……
やっとここまで頭が働くようになった。
「一郎くん!ドミルガンの睡眠魔法は一度きりしか使えないわ!警戒しないで突撃してっ!」
ラポーナさんが助言をくれた。
僕はもう寝ない!
決意を固めると、もう一度ドミルガンの足が降りてくるが、今度はヒラリと
「ほう……起きてしまったか……折角グッスリ眠れる魔法をかけたのに……そのまま寝たまま連れて行きたかった」
ドミルガンがそう言うと今度は剣を振り上げた。
それは僕にとっては最大の
ドミルガンが剣を上げる時間が隙を生んだ!
僕はセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機にいつの間にか設置されていた【ターボ ボタン】と書かれたボタンを押しながら叫んだ!
「【アベル商店の掃除機】よ!ターボモードでドミルガンの魔力を吸い尽くせ!」
ブォオオオオオオオンンッ!!
ドミルガンはあっと言う間に掃除機に吸い付き、風船がしぼむようにみるみる小さくなっていき、やがて小鳥サイズまで小さくなって干からびた。
僕たちは勝った。
アリ―がいつの間にか隣に来て
「イチルウゥ!無事でよかった!」
と抱き着いてきた。
「一郎くん、事情は後で説明します。」
ラポーナさんが真面目な顔で言った。続けて
「今は【アベル商店の掃除機】で怪我人の傷を吸いあげてください」
僕は今、気持ちを静めて、とりあえず人々の怪我を治すことに決めた。
【アベル商店の掃除機】を出してダイヤルの【傷】に回して怪我人の傷を掃除機で吸うことにした。ラポーナさんが最優先で治したいのが国王だったので、国王から始め、貴族、城内で働いてる人、そして街の人々……
グゥィイイイイインッ!
約1時間ほどだろうか?少し疲れてきたけど傷を効率よく吸うコツをつかんだ。
傷に近づければ傷を掃除機が吸い取って傷が無くなり完治する。どうやら骨折もだいたい同じ感じで行けた。傷の角度次第では素早く傷を吸い取るのでそのコツも分かってきた。
しかし、そろそろ肩が凝ったらしい。
「あー肩凝った肩凝ったーぁ……」
アニーが気を使って飲み物を持ってきてくれて、とても嬉しかった。
とボヤいていたら、後ろからラポーナさんが現れ
「マイハニー!お肩をお揉みしましょうか?それとも別の癒しをお求めですか?とりあえず私の部屋で二人きりで……」
抱き着いてきたのがうっとうしいけど、僕にはラポーナさんに聞くことがあった。
「これからどうしますか?」
僕がラポーナさんに尋ねるとラポーナさんが笑顔で答えた。
「王の御前にて魔王討伐の王命を受けます」
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