第1章 第19話 vs魔王 四天王 ドミルガン

健太が剣で薙ぎ払ったドミルガンの巨大な指は、カーンッ!と弾いたが傷つくこともなくドミルガンの手が少し引いただけに過ぎなかった。


「ラポーナ……貴様何を異世界人に吹き込んだ?」

ドミルガンが動きを止めてたずねた。

「人として当然のことよ。こちらのご四方よんかたはこの街の人々に大変お世話になりました。その街の人々に危害を加えるなどとは言語道断ごんごどうだん!許されまじ所業しょぎょうです」

凛々しい顔でラポーナは続けて言った。

「あなたはここで倒れるのです!ドミルガン!さあ皆さま方!今こそ勇気を振りぼる時です!」


ラポーナの演説を切っ掛けに戦いは始まった。


「私と中村さまが、佐藤さまと山田さまに、体力向上と筋力向上の魔法を掛けます」

ラポーナの呼びかけでラポーナと雄一が健太と美咲に体力と筋力を上昇させる魔法をかける。

健太は剣を抜き盾と共に構えて真正面から突撃し、美咲は隙を狙って後ろからナイフを振りかざす。

僕もセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機を出しダイヤルを【魔】に回しスイッチを入れて、王様が倒れてるドミルガンの左側に突撃を敢行した。


しかし僕らにはとてもかなわない相手だった。


ドミルガンが右手に剣を持つとブーンッ!と振るった!


バァーン!


剣と盾で防御していた健太を吹き飛ばした。

防御していなければ胴体に傷がつき肋骨が折れてたかもしれないほどの凄まじい一撃だった。


美咲が潜伏スキルで後ろに回り込みドミルガンの右ひざの裏を狙う。


ここを切ってしまえば右足が動かずドミルゴンは大分不利になる。

そう思って右ひざの裏を目掛けてジャンプしたその時に横から視線を感じた。


カエル頭の執事の両掌の上に黒いヘルムが乗っている。


ドミルガンの頭だ。


カエル頭の執事が美咲に対して口を開いた。

「僭越ながらご忠告させていただきますと、ドミルガン様は真横からあなたのやることなすことを全てご覧になられて、あなたの作戦は丸わかりでした」


「しまった!」


ドゴーン!


美咲が言った瞬間に美咲の体はドミルガンのかかとに蹴られて、吹き飛ばされた。


健太と美咲が吹き飛ばされて、いよいよ僕しか前衛がいないことを実感した僕は唸りを上げるセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機を持って突撃する。


「【アベル商店の掃除機】よ!ドミルガンの魔力を全部吸えっ!」


ゴォオオオオオオッ!


セルリアンブルーに輝くコードレス掃除機はさらに唸りを上げてドミルガンの魔力を吸い上げる。

しかし、ドミルガンも負けじと左手を振り下ろし僕を手でつぶそうとした。


僕は不覚にもドミルガンの手に潰されそうになっていた。ついに潰されるか?!と思ったその時、振り下ろすドミルガンの手の軌道が変わり難を逃れた。


ドミルガンの手には矢が刺さっており、振り返ってその矢の射手を確認すると、アリ―だった。


「アリ―ありがとう」

僕が叫ぶとアリーが返事して

「信じてる!イチルウならできる!頑張って!」

手を振ってくれた。


「さあ、【アベル商店の掃除機】よ!ドミルガンの魔力をガンガン吸えっ!」


ゴォオオオオオオッ!


僕はドミルガンに向き直して魔力を吸い上げる。


ドミルガンの魔力は大量でなかなか吸いきれない。

そのうち、自分でも知らないうちに……


……僕は眠ってしまった。

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