第1章 第14話 魔物を退治する

「あの狼型の魔物は魔狼まろうと呼んでます。とても狂暴で狼と同じくチームを組んで我々人型の生物を襲います!……アレに私の家族は殺されました……」

アリーは走りながら説明してくれた。僕とアリーがキャラバンの方に向かうとキャラバンは僕が襲われた時と同型の魔狼に襲われていた。


健太を含めた剣士の皆さんは接近戦で魔狼と対峙して、ラポーナさんと雄一は魔法で剣士たちにバフを掛けて体力や筋力を上げてる。

美咲は馬車の上から魔狼の位置から剣士たちへ指示している。非戦闘員の皆さんは恐らく馬車の中だろう。


僕たちがキャラバンに急いで向かう中、アリーは走りながら矢を放った。

矢はシュッと音立てながら速く、真っすぐ、糸を引くように魔狼の腹に命中した。


矢が当たった魔狼は振り返りこっちへ向かってきた。アリーが次の矢を放とうとした時、僕は【アベル商店の掃除機】のスイッチを入れ、唸りを上げた!もちろんディスプレイには【魔】の文字が表示されている。


【アベル商店の掃除機】の吸込口すいこみぐちが魔狼を捉えた。


ゴォオオオオオオッ!


僕はそのまま、キャラバンを襲う魔狼の群れに突っ込んでいくと、あっちの方が僕に気づき取って返して突っ込んでくるところに轟音鳴り響く【アベル商店の掃除機】を突き立てると、先に吸われてる魔狼に別の魔狼がピタリとくっつき、その魔狼にまた別の魔狼が付く。


最終的には大きくて丸い魔狼の塊が出来た。


……子供の頃、砂場に磁石を持って行ったときに磁石に砂鉄がビッシリとくっついてたのを思い出すなあ……


僕が思い出してると【アベル商店の掃除機】は魔狼の魔力を吸い続けて、やがて全部の魔狼の一匹一匹が干からびて小鳥の大きさになって地面に落ちた。


僕は魔狼が全滅したのを確認してから怪我人を探して「傷を見せてください」と話しかけた。


怪我をしていた剣士は不思議そうな顔をしながら腕の怪我を見せると、


グゥィイイイイインッ!


僕は【アベル商店の掃除機】で怪我人の傷を吸引してその怪我は完治し、みんな最初は驚いてたけど怪我が治るとお礼を言ってくれた。


怪我人を全員完治させたらセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機は消えていた。どうやら、【アベル商店の掃除機】は自由に出たり消えたりをさせられるらしい。


エルフたちが数人やってきてキャラバン隊の剣士たちにお礼を言っていて、キャラバン隊の御者の人達はは帰り支度をしている。


「そろそろ街に戻るころか……」

僕が呟くと隣にいたアリーがお願いを言ってきた。

「イチルウ、私もイチルウと一緒に街に行っていいかな?」


次の瞬間、僕の背中に何かが当たった感触があった。

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