第1章 第11話 エルフと出会う

僕たちがいるキャラバンの前にはエルフの美少女がいた。


弓を持ち、矢筒を腰に着けて、長い髪が邪魔にならないようにバンダナを頭に巻いて、緑色の服と動きやすいようにと緑色のミニスカートを着衣して、緑色のブーツと肘まである緑色のロンググローブを身に着けていた。


僕らの眼前の美少女エルフが口を開いた。

「ご丁寧なご挨拶、痛み入りますラポーナ殿、私はこの森のエルフ族のアルレシア・シルヴァリスと申します。」

アルレシアと名乗るエルフが元に来た方向へ振り返りながら続けて言った。

「我々も川の汚れに対して思案していたところなので、皆様を目的の場所までご案内申し上げます」


アルレシアの案内で目的の川の汚れた区域に連れてこられた僕らが見たものは、大型動物が木組みで巣を作ったような場所だった。

 大型動物の巣 という表現はラポーナさんの見立てで僕には巣と呼ばれるものから何かが漏れてるれている事しかわからなかった。


「高橋さん、これは街や城に流れる川の水に流れ込んでる汚れの原因であると私は断定します!」

ラポーナは続けて言った

「この巣の材料となっているのはトリカブトの木と呼ばれる人間にとっては猛毒性植物なので、街や城の人々が中毒になる前にこの巣を取り除いてください!」

ラポーナさんが意気揚々に言ったけど、僕はなく答えた。

「え?僕がですか??」


「高橋さんがやらなきゃ誰がやるんですか?このキャラバンに掃除屋は高橋さんしかいないんですよ?!」

ラポーナさんはその美人な顔を僕の顔に近づけて僕の顔をマジマジと見ながら言った。

「……はい。わ、わかりました。や、やるだけやってみます」

僕は若い女性とこんなに間近に顔を突き合わせて話をする事がほとんどないので緊張して、声を震わせながら、渋々承諾した。


「だいたいトリカブトって草じゃん、なんでこっちの世界は木になってるの?もしかして名前が同じなだけの別物なの?」

僕がブツクサと愚痴ぐちこぼしながら川岸の巣に向けて歩いて近づいていくと、僕の口にいつのまにかマスクが装着されていた。「まずは消臭だ」と思った瞬間に右手には消臭スプレーがあった。


プシュッ!プシュッ!プシュッ!


僕は一心不乱に消臭スプレーを噴射すると、確かに少しは匂いが和らいだようだが根本的な解決にはなってない。

そう思うと、持っていた消臭スプレーがセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機にに替わっていた。

掃除機のスイッチの近くにダイヤルがありダイヤルの状態を表示するディスプレイが【木】の文字を示していた。


「【アベル商店の掃除機】よ、君はこの猛毒の木を君が吸い込むとでも言うのか?」

僕は掃除機に仰々しく大げさに話しかけた……がコードレス掃除機は何も答えなかった。


「……まあ、言わないよね……」

僕は気を取り直してコードレス掃除機を川岸の汚れに向けて……僕は叫んだ。

「【アベル商店の掃除機】よっ!僕の期待に応えて川岸のトリカブトの木で作られた魔物の巣を全て吸い取れっ!」


ゴォオオオオオオオッ!


僕が持ってる【アベル商店の掃除機】がうなりを上げた。

僕に近い川岸の巣を構成している木々を徐々に吸い込んで行く。そして段々吸引が強くなっていき吸い込む量が増えてゆく。


やがて川岸の巣はほとんど【アベル商店の掃除機】に吸い込まれ、細い枝があたりに塵ばっていた。

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