第3章 第40話 尋問される
尋問室に連れてこられた僕は早速、手錠をはめられたまま椅子に座らされると、僕の前に座っている若く美しい女性の尋問官は
「あなたたちは優しく慈悲深いヒミッゾ様をこともあろうか殺そうとしてる……で、いいのかしら?」
「……僕たちのクラスメイトを監禁していなければ殺しませんよ」
「クラス……メイトってさっきの二人も言っていたけど、あなたがたのお友達と思って良いのかしら?」
「はい」
「では、あなた方のお友達がヒミッゾ様に招待されて客人として接待されている……とは思わない?」
「それは考えたことが無いですね」
「さっきも言ったようにヒミッゾ様は優しく慈悲深い……私も見たことがあるがヒミッゾ様に招待された人は全員リラックスをして幸せそうよ」
「そうなんですか……僕のクラスメイトのみんなも幸せなら僕も幸せです」
「そうよ、ヒミッゾ様の言う通りにすればみんな幸せなの……」
「……だから……」
尋問官はその美しい顔を僕に近づけて妖しい瞳で僕の目をを熱烈に見つめる。
その熱い視点に僕の眼球は熱を
「ねぇ、私たちと一緒にヒミッゾ様のお手伝いをしない?」
美しい
「そうですね。クラスメイトの為にもヒミッゾ様の
……あれ?確かにクラスメイトのみんなも大切だけど……もっと根本的な……何か違うんだけど、わからない……
「決まりね。じゃあ一旦戻って全員の尋問が終わって準備が出来次第、ヒミッゾ様の館へ行きましょう」
「はい。ヒミッゾ様のお役に立てるのは僕としてもうれしいです」
……目の前の尋問官さんの言う事はすべて正しくて、それに従うのはとても良い事だと思えるようになったので……
……僕は尋問官の言う事を全て鵜呑みにした……
僕は牢番に連れられてみんなが待っている牢屋へ戻った。
……みんなにヒミッゾ様のすばらしさとヒミッゾ様の為に働く必要性を教えてあげよう……
僕は
「みんな、クラスメイトのみんなの為にヒミッゾ様に働こう!」
言い終えた時に僕の頭の後ろで『クゥゥゥゥン……』という音が聞こえると……
……思い出した……僕はあの尋問官に洗脳されていた……
……恥ずかしい……
……まるで自動販売機でコーラを買うつもりがお茶を買ってしまったみたいな気分だ……
……自動販売機の前でコーラを見てコーラのボタンを押したのに出てきたのはお茶、しかも出てきたお茶を見てから自動販売機を見直してみると、コーラではなくお茶のボタンだった……
……そんな間違いをした気分だ……ああ、コーラ飲みてぇぇぇ……
僕は頭を抱えてしゃがみ込み「うわあああああ!恥ずかしいいいい!」と叫びだすと、アリーが「イチルウ、落ち着いてください」と
僕の洗脳を吸ってくれた健太が僕にハンディクリーナーを返してくれて
「俺も雄一も同じだったよ……気にするな……」
と慰めてくれた。
僕が帰ってきたのと入れ替わりに連れていかれたのはラポーナさんらしい。
ラポーナさんも、ヒミッゾの素晴らしさを
美咲とアリーも同じこと繰り返し尋問は終了した。
……ところで僕たちはなんでこの牢屋から脱出しないんだろう?……
と思ったところで、僕より先に美咲がラポーナさんに向いて質問した。
「ラポーナさん、そろそろこの汚い牢屋……いや、一郎が掃除したからきれいだけど……捕まったままの意味はあるの?一郎の掃除機で鉄格子もドアも吸い取っちゃえば出れるじゃん?」
「……我々には情報が足りません。ヒミッゾの場所もヒミッゾの洗脳の秘密もそして【魔王ザルド・ダークネス】がどこで何をしているのかも……だから、みなさんこの3つが分かるまでヒミッゾに逆らってはいけません」
ラポーナさんがそう答えた。
僕たちは、ヒミッゾの場所、ヒミッゾの洗脳の秘密、【魔王ザルド・ダークネス】がどこで何をしているのか、この3つを聞き出すまでは大人しくすることに決めた。
……だが、この作戦は突然破綻した……
それは、天井近くの外と繋がっている空気孔の向こう側に誰かがいる気配がした時だった。
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