第3章 第39話 友人が尋問される

牢番ろうばんがやってきて両手で目をふさぎ「まぶしっ」と叫んだ。


僕たちの部屋はそれほどピカピカだった。


牢番は何かグチグチ言って健太を連れて行った。

僕らは健太を見送ることしかできなかったけど、10分くらいしたら健太は帰ってきた。


健太と入れ替わりで雄一が今度は連れていかれた。


「どうでしたか?」

一番最初に健太に質問したのはラポーナさんだった。

「いや、俺たちはヒミッゾ様を倒そうとしてるけどヒミッゾ様は素晴らしいお方なのでもうやめてヒミッゾ様の下僕げぼくになろう」


健太はすっかり洗脳されていた。


ラポーナさんが頷いたので僕はハンディークリーナーを取り出し【掟】のダイヤルに回して健太の頭につけた。


クゥゥゥゥン……


ハンディークリーナーが静かに健太の頭で吸引を始めると、健太は『はっ』とした顔をして

「俺、今までヒミッゾのこと素晴らしいから全部従った方が良いとか思ってた……

何故だ?

俺たちのクラスメートを監禁してるかも知んねーのに……

どうしてたんだ俺???」

と青い顔をして落ち込んだ。


「佐藤さま、実に有益な情報をありがとうございました。

これで対策が出来ます」

ラポーナさんは健太に優しく語り掛けると今度は全員に言った。


「みなさん、今回は洗脳もしくはそれに似た方法で我々を操り人形のようにヒミッゾの都合の良い人間にされるようです。

……なので、今回の佐藤さまのように洗脳されたら一郎くんのハンディクリーナーで洗脳を吸い取ります。

どうやら、それで元に戻るようです」

ラポーナさんがみんなに言い終えると、次は僕と健太にだけ向けて言う。


「……次は一郎くんが連れていかれる番だと思われますので佐藤さまがハンディクリーナーをお預かりしてください。

そして、一郎くんが帰ってきたらハンディクリーナーで一郎くんに掛けられた洗脳を吸い取ってください」


……なるほど、一度尋問した健太はもう尋問されないから健太に預けておけば、僕が帰ってきたときに洗脳を説いてもらえる……


僕と健太は小さくうなづくと雄一が牢屋の廊下の出入り口からやってきたのでハンディクリーナーを健太にあずけた。


わぁれらはぁ間違まぁちがぁっていたぁ!ヒィミッゾォさぁまはぁ素晴すんばらしぃいおかぁただぁからぁヒィミッゾォさぁまたあめにこのソォードアァでぇ一生働いぃっしょぉう はたぁらこぉうではないかぁ!」


雄一が健太と同じ感じで帰ってきたのと同時に僕が尋問の為に連れ去られた。


ピカピカの鉄格子をくぐけて手錠を掛けられて牢番二人に廊下に出て出口まで連れていかれる。


不思議なことに牢屋に人がいる気配がない……そうか!この街の人たちは全員ヒミッゾに洗脳されてるんだ!……じゃあ、何故僕たち6人がバラバラじゃなくて一緒の牢屋に入ってるのだろうか?


そんなことを考えてるうちに尋問室にたどり着いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る