第3章 第35話 【アレ】の事を話す

馬車に繋がれた馬は草を食べながら僕に体を拭かれてる、健太と雄一はデラダイムで買った小麦粉や塩などからパンをこねたりしてミレイの調理手伝っている。


……デラダイムには調味料や穀物粉こくもつこなど食材が豊富に売っていて、ミレイの目利きで沢山購入出来たのはさいわいだった。

おかげで今日は念願のあの料理が食べられる!

余談だけど雄一がどうしてもと言うのでキンメダイだけ数匹買って全部捌ぜんぶ さばいて塩漬けで保存している……


美咲は食事用のテーブルとイスを設置しており、ラポーナさんは相変わらず本を読んでいる。


今日のごはんは念願のハンバーガーだ。


【パンズ】は健太と雄一がさっきこねねて今焼いていてもうすぐ完成する。


ビルド(ハンバーガーに重ねる具材)は美咲が見つけてきた【キャベツ草】と言う草が、見た目はキャベツと違うのに歯ごたえがと味がキャベツと言う何とも奇妙な草でこれをレタスの代わりにすると言ってた。


肉は昨日アリーが狩ってきた鳥を全部食べずに今日のために保存しておいたものを、鳥の皮から油を取った【鶏油ちーゆ】を鳥の身を片栗粉でカラッっと揚げた【フライドチキン】をパティにする。


ソースは美咲が昨日獲ってきた鳥の卵をゆでたまごにしてこの世界にたまたまあったタマネギと一緒にみじん切りにして作り置きしておいたマヨネーズと全部交ぜて【タルタルソース】を作った。


【パンズ】が焼き上がり半分にカットして、【ヒール】という底に敷く方のパンズに【フライドチキン】をせて【タルタルソース】をたっぷりけて【キャベツ草】置くようにせる。


上にせる方のパンズである【クラウン】を最後にせて異世界バージョンの【タルタルチキンバーガー】の出来上がりだ。


「さあ!料理が出来たにゃ!今日の料理は……えーと……【タルタルチキンバーガー】にゃ!」


ミレイが元気に、お皿にった7つのハンバーガーをテーブルに並べてくれた。


……7人全員が手を合わせて『いただきます』と言って食べ始めた

……最初は僕たち異世界人4人がだけがやっていた習慣だけど、今や7人全員の習慣となった


みんな【タルタルチキンバーガー】をむさぼるように食べ始めた。


僕も両手でパンズを掴み【タルタルチキンバーガー】を口まで持っていってかじる。


……美味い!……


上下のパンズに挟まれたシャキシャキのキャベツ草と柔らかい肉のフライドチキンが気持ちの良い歯ごたえを作り出してくれてタルタルソースがフライドチキンの【鶏油ちーゆ】と混ざり合い極上の美味しさを演出してくれる!


ああ、口の中が幸せだ……しかしこの幸せは長くは続く無かった





「一郎くんから【とある】質問をいただきまして、それは皆さまにも聞いていただきたく、今この場で話をさせていただきます

皆さまは食べながらお聞きください」





みんなが一瞬、手に持ってるバーガーを口に入れるのを止めて、ラポーナさんを見つめたけどすぐに食べる作業に戻り、ラポーナさんは続けて話を始めた。


「魔王四天王のふたりは私の名前を知っていまいした、それは何故なのか?!」

「それは【魔帝まてい】の誕生と【緑魔蝗石りょくまこうせき】が誕生した瞬間に私も立ち会っていたからです」


ラポーナさんが静かに話を進める中で皆はモグモグと食べている。


「前に、我が国が真っ暗な闇となりそれが小さな塊となり最終的に【緑魔蝗石りょくまこうせき】変化した……そう説明しました」


ラポーナさんがさらに静かに話を進める中で美咲以外は黙々もくもくと食べている。


ラポーナさんの説明に美咲は食べるのを中断して口を挟んだ。

「たしかクデーゲさんが【緑魔蝗石りょくまこうせきを持ち帰った……って言ってましたよね?」


「山田さまのおっしゃとおりです。ただ、その場にいたのはクデーゲだけではなく私も含めて3人いました」


ラポーナさんの衝撃発言にミレイ以外のみんなが食べる手を止めた。


「実はそのときに闇から生まれたのは【緑魔蝗石りょくまこうせき】だけではなく、【魔帝まてい】もその時に生まれていたのです」


ミレイは夢中で食べてるが、ミレイ以外が静かに固唾かたずんでラポーナさんの話を聞く。


「生まれたての【魔帝まてい】は私とクデーゲ以外のもう一人がどこかへと連れ去ってしまいました。

今思うと【緑魔蝗石りょくまこうせき】だけでも、クデーゲが持ち帰れて良かったと思っています。

なにしろ、一郎くんの【アベル商店の掃除機】として大活躍してますから……」




「魔王四天王が私の名前だけ知っているのは【魔帝まてい】を連れてどこかへ行った人物が私の話をしたのかもしれません……

私の一郎くんへの解答はここまでです」

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