第2章 第26話 現在のレベルを知る
「とりあえずデラダイムへ行きましょう」
ラポーナさんがドミルガンの拠点だった館でどこかを指差して言ったあとに、居酒屋で満腹になった僕たちは旅支度を終えて出発し、5日くらいかけて僕たちを乗せた馬車はデラダイムの近くまで来た。
……そういえばすっかり忘れていたけど、僕のレベルはいくつなんだろう?
ラポーナさんに聞いてみよう。
「ラポーナさん、僕のレベルって今いくつくらいかわかりますか?」
ラポーナさんは読んでる途中の本にしおりを挟んで本を閉じてから答えてくれた。
「一郎くんのレベルですか?今18です。」
「おおぉ!上がってる上がってる!」
「ちなみに、佐藤さまがレベル13、山田さまが16、中村さまが11です。」
へー……僕が一番なんだ……まあドミルガンを倒したのは僕だから当然と言えば当然か
美咲がレベル16と高くて、健太が13、雄一が11って結構開きがあるんだな……
「そしてドミルガンのレベルは52です。
皆様よりもレベルが高いドミルガンを倒すことが出来るという事は、
レベルが低い魔物に皆さまが倒される可能性があるという事になります……」
「……
結局はスキルや武器や道具をどれだけ効果的に使いこなすか?
罠を使うか?
それが魔族を倒す秘訣となります」
「私に言わせれば、レベルとは経験の積み重ねであって決して優秀さを表す数値ではないのです」
ラポーナさんはそう答えると本の続きを読み始めた。
……なるほど……兵法が重要なのか……
わかったような、それでいて、わかってないような……でも、具体的に兵法を
「イチルウ……イチルウは精一杯やってるし、イチルウの思った通りにするのが正しいと思うの……」
アリーは悩んでる僕に笑顔で声を掛けてくれた。
「アリ―、僕はね……
この世界に僕と一緒に召喚されたクラスメイトと……
元の世界に帰らなきゃいけないんだ……
もしかしたらアリーに寂しい思いをさせるかもしれないんだ……」
「でもまだ帰らないでしょ?
そんな先の話はその時に考えればいいと思うの……
私は寂しくなんかないよ、イチルウと一緒にいるときが一番楽しいよ、
だからそんなこと言わないで……」
この天使のような美少女の温かい言葉に僕の心は救われた。
僕はどんなものもピカピカにキレイに出来るけど、僕の心を晴れやかにキレイにしてくれるのはアリ―しかいない……
そう思ったとき……
「でも、一郎くんが望むなら私とレベルアップしましょう」
本を読むのをやめて突然、僕に迫ってきたラポーナさんが意味不明なことを言った。
「僕は掃除でしかレベル上がりませんよ?
ラポーナさんの体を雑巾で拭くんですか?」
「一郎君の……雑巾なら……受け入れられる……かも……
さあ、一郎くんと私の愛を積み重ねてレベルアップしましょう!」
ラポーナさんがモジモジしながら僕に近寄ってくると、アリーが真っ赤な顔をして後ろから
「イチルウに近づいちゃダメ嫌がってるでしょ!」
と言って、いつも通り二人は言い争いを始めた。
「デラダイムの城壁が見えたよー!もうすぐだねー!」
馬車の御者をしている美咲が少し大声で教えてくれると、少し遠くに見える人影が近づいてくる。
人影の近くまで来た時、その人影の正体に驚いた。
コウモリの魔人だった。
僕は馬車から飛び降り、【アベル商店の掃除機】を右手に呼び寄せて、ダイヤルを【魔】に合わせてスイッチを押した。
「【アベル商店の掃除機】よ!コウモリ魔人の魔力を全部吸え!」
ゴォオオオオオオッ!
僕が叫ぶとセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機は轟音を鳴り響かせてコウモリ魔人に吸い付いた!
しかし、予想外の事態が起きた。
吸い尽くされて魔力が尽きたコウモリ魔人の姿が……人間。
コウモリ魔人の正体!それは、おそらく40代くらいのおじさんだった。
「そぉのぉ
魔術師である雄一は僕たち異世界人と魔物のレベルが分かるので教えてくれると、ラポーナさんがさらに推察した。
「この方は魔法でコウモリ魔人に変装させられてたみたいですね」
そうか、このおじさんはコウモリ魔人として、何か経験を積んだわけじゃないからレベル1だったのか……
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