第1章 第10話 森へ行く

高橋一郎、佐藤 健太、山田 美咲、中村 雄一の4人は森にいた。


僕たち4人はラポーナさんの依頼により川の上流域に行くのだが、なんでも、城に流れる川が以前より少し汚れてる件の調査と汚れの原因を取り除くべくためらしい。


20人くらいでキャラバンを組んで、3台の馬車の一台に揺られながら、途中である森の中を通っているのだ。


馬車に荷物と一緒に乗ったは良いがふと疑問に思った。


僕がここにいるのは、まあ、川を浄化する要因として納得いく、健太は護衛として、美咲は探索要員、雄一は何か魔術で対処しなければならないの場合とそれぞれ理由があるのだが・・・何故ラポーナさんまでいるのだろうか?聞いてみた。


「高橋さまたちの目付けとキャラバンの監視と、後々、国に報告する役目がありまして……」

ラポーナさんはそう言ってたが、その表情は晴々はればれとしていた。彼女にとっては息抜きも兼ねているのだろう。


森の中は心地よかった。

静かで荘厳そうごんで小鳥のさえずりりがたまに聞こえて……深呼吸をすると肺が綺麗きれいになるのを感じる……全身もなんだか綺麗きれいになっていく感覚がある……森が浄化した空気を浴びているみたい……

小さい頃に伯父さんから聞いたことがある、これが森林浴というものなのだろう……


「まるでエルフでも出てきそうな綺麗きれいな森ですね・・・」

と僕は思わず言ってしまった。

ラポーナが気を使ったのか、話に乗ってくれた。

「高橋さまのいた世界はエルフがいたのですか?」


「僕がいた世界にはエルフはいませんがエルフの伝承がありまして、エルフが登場する物語が多数あるのです」

僕は早口で言い、続けて言った。

「伝承のエルフは耳が少し尖がってるだけなのですが、物語のエルフは耳が尖がってるのは少数派なのです」


「じゃあ、物語に出てくる多数派のエルフはどんな耳ををしてるのですか?」

ラポーナはまたもや話に乗っかってくれた。

「それはみみがな……」

「耳が長いんですね!あんな感じで……」

僕が答えてる途中にラポーナさんが先に答えて指をさした。


ラポーナがさした指の先を辿って見てみると、高い木の枝の上に人影が見えた。


僕は突然認識した人影に少々怯おびえながらつぶやくように質問した。

「あれがエルフですか?」

「弓の達人にして森の守護者、エルフ族です」

ラポーナさんがそう答えながら凛々しい顔をしながら馬車から降りた。


「ヤラーマムの森の守護者たるエルフたちよ聞けっ!我はユゲノラ王国宮廷魔術師補佐のラポーナ=ブルノジーである!」

ラポーナさんが毅然とした態度をとり迫力ある大声でエルフたちに語り掛ける。


「この森ってヤラーマムって言うんだ……僕たちが異世界から呼ばれたあの国ってユゲノラ王国って言うんだ……ラポーナさん、宮廷魔術師補佐って随分ずいぶんと盛ったなあ……」

ラポーナさんはキャラバンを代表して、凛々しくエルフに呼び掛けてるのにもかかわらず、僕は不謹慎にも他の事を考えてた。


「この先の川の上流域にけがれれがあると噂があるので調査に参った!森を通ることを許されよ!」

ラポーナさんが続けて、毅然とした態度で迫力がある大声でエルフたちに語り掛ける。


そして僕らの進む方向から、一人のエルフの少女がこちらに向かってゆっくり歩いてきた。

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