第3章 第43話 ヒミッゾのゲームに参加する
ヒミッゾの笑い声が部屋中に響き渡る。
僕たちは、かごの中の鳥だ。
四天王ヒミッゾの【アブソリュート・ルール・ミュージアム】によってルールに支配され強制的にゲームに参加させられる……と言う話だ。
「ゲームに参加できるのは異世界人の4人だけよ、
残りの3人は一切動いちゃダメよ……」
ヒミッゾが言った瞬間にラポーナさん、アリー、ミレイの3人が固まったように動きを止めた。
「アリ―!」
僕は思わず叫んだ……
「あら?そのエルフの娘はあなたの
ヒミッゾが僕のそばまで来て
「あなたたちの仲を引き裂こうかしら?」
僕の耳元でささやいた後に、振り返りイスまで戻る……その瞬間を逃さなかった!
僕はハンディクリーナーを瞬時に出しダイヤルを【掟】に回しスイッチを押して
クゥゥゥゥン……
【アブソリュート・ルール・ミュージアム】によって僕に掛けられた【アブソリュート・ルール】を吸い取ってすぐにハンディクリーナーを消した。
……アリー……必ず元に戻してあげるからね……
僕は誓いをたてた。
「ところでつまらない質問なんだけど……」
「何かしら?ガッチリした坊や……」
健太が質問してヒミッゾが答える。
「【アブソリュート・ルール】と【アブソリュート・ルール・ミュージアム】ってどう違うんだ?」
ヒミッゾは歩きながら健太の質問に答え、イスの前で歩みを止め、こちら側に振り返る。
「【アブソリュート・ルール】は
【アブソリュート・ルール・ミュージアム】は
「ちなみに
……そうか、なるほど僕たちが尋問でヒミッゾの言いなりになったのは【アブソリュート・ルール・ミュージアム】のルールだったのか……
……そして【アブソリュート・ルール】は【技】で、【アブソリュート・ルール・ミュージアム】は【掟】なのか……僕は完全に理解した……
「さて……そろそろ始めましょう。ゲームは3回やっていただくわ」
そう言うとヒミッゾは豪華な椅子に座った。
「ゲーム1回ににつき脱落者1人、脱落した方はそこの女どもと同じく動いてはいけません。
……それがルールですの」
「では、最初のゲーム、あなたがたの世界の円形餡入り焼き菓子の名称について語り合っていただくわ」
ヒミッゾが言うと僕と健太と雄一と美咲の真ん中あたりにその焼き菓子が見えた。
「この焼き菓子はあなた方の世界で50前後の名称があるらしいのねぇ……
でもこの焼き菓子の呼び方について喧嘩しちゃダメよ」
ヒミッゾは美しく妖しい目で僕らを見つめながら
「もしも殴り掛かったらその人は失格にするわ、それがゲームのルール……」
ヒミッゾは椅子から立ち上がって『パンッ』と手を叩く。
「では開始!異世界人4人よ、この焼き菓子の名称を答えなさい!」
「おやき」
「
「
「
その円形餡入り焼き菓子は今川焼など50近くの名前で親しまれる美味しいお菓子だ。
つぶあんを入れるのがオーソドックスだが、クリームやチーズが入ってるのも美味しいし、チョコレートや白あんもあってこれも美味しい。
そして今、その美味しいお菓子の名称を
美咲がまず
「私は冷凍食品で5個入りの今川焼が最初の今川焼だから【今川焼】って言ったよ」
次に雄一が
「
続いて僕が
「僕は【大判焼き】、小さなころ屋台で買った時からそう呼んでる」
最後に健太が
「北海道のじいちゃんが【おやき】って言ってた……」
すると突然、雄一が
「【おやぁきぃ】って
と言って健太の胸ぐらをつかんだ。
……その瞬間……雄一の動きは止まった……
「胸ぐらをつかむのは殴り掛かるのと同じ……金髪の魔術師くんは失格で最初のゲームは終了。
案外早く決着がついてつまらないわねぇ……」
ヒミッゾは椅子に座りながら手を『パンパン』と叩いて第一ゲームの終了を知らせた。
「……北海道では本当に【おやき】って言うんだけどなあ……」
と、健太がボヤいた後に小さな声で僕と美咲に言う。
「さっき【おやき】の別名を聞いた時にカチンと来なかったか?」
「きたきた!なんでみんな【今川焼】って言わないのか腹が立ってきてた」
美咲が続くが、僕は「僕はなんとも……」と答えた。
……ルールによって感情も支配されるのか…………慎重に行かなければ……
僕は緊張していた。
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