第1章 第17話 強敵に出会う

僕はキャラバンの馬車から飛び降りて倒れてる人々のそばまで行って、いつの間にか持っていたコードレス掃除機のダイヤルを【傷】に回しスイッチを入れる。


「【アベル商店の掃除機】よ!傷を全部吸い込め!」

僕が叫ぶとセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機は唸りを上げて倒れていた人々の傷を吸い込む。


グゥィイイイイインッ!


傷を吸われた人は立ち上がり不思議そうな顔をしている。


次々と傷を吸い、倒れていた人全員の傷を吸い終わるとラポーナさんがやってきて城門の門番に質問した。


「これは一体どういうことですか?」

「突然、大型の狼のようなモノがやってきて、次々と人々を襲い我々もあっと言う間に襲われて……それから先は……憶えていません」

門番は下を向き申し訳無さそうに答えた。


大型の狼のようなモノ……おそらく魔狼だろう、街や城まで襲い掛かって来たのか……

僕たちは街中へ急いで駆けつけたら、人達が襲われている。


【アシカの髭亭】の店主兼料理人のセスバルが、本来は美味しい料理を街のみんなに食べて欲しくて、料理と作るために振るうハズの包丁を魔狼に向けて応戦している。


【大通り3番目の宿屋】の店員メースィーは傷つきながらお客に座ってリラックスしてもらうはずの椅子を懸命に振り回して魔狼を近づけないようにしてる。


【アベル商店】の店長クデーゲは短剣と盾を振り回して応戦している。


その他に傷ついて倒れている人、悲鳴を上げてしゃがんでる女性、泣いてる子供、逃げ惑って混乱して押しくらまんじゅうのようになって動くに動けない人々……


僕はその光景を見るとセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機のダイヤルを【魔】に合わせると叫びながら突っ込んでいった。

「【アベル商店の掃除機】よ!!魔狼の魔力を全て吸えっ!!」


ゴォオオオオオオッ!


僕はセスバルが料理の味見をされてくれたとても美味しかった鳥の香草焼きの味を思い出してた。そいうえば、メースィーも休憩にとくれたハーブティーは苦かったけど嬉しかったし気持ちも休めた。


こんなに短い間なのにこの街には僕の思い出が溢れてる・・・絶対にこの街を僕が守るんだ!


僕の想いを乗せてセルリアンブルーのコードレス掃除機は魔狼をつかみ、魔力を吸い、干からびさせるを繰り返し、あっという間に魔狼全部約30匹が干からびた塊となった。


敵はいなくなったと僕は思っていたが【アベル商店の掃除機】はまだ強敵がこちらにやってくるのを感知していた。


向こうの方から黒い影が近づいてきて、だんだん姿すがたかたちが分かってくるとソレは黒い鎧だった。


やがて近づてい来る黒い鎧は首から上が無い、と思ったら右脇に黒いヘルムを抱きかかえて、左手に王様の髪を鷲掴わしづかみにして王様の体をって歩いてこちらに向かってきた。


「【魔王ザルド・ダークネス】の四天王の一人!デュラハンのドミルガン!」

真っ青な顔をして震えながらラポーナさんはつぶやいた……


僕がデュラハンの黒いヘルムの顔を見ると微笑んでるように見えた。

「この街は……この高橋一郎が救う!」

心の中で僕は誓った。

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