第2章 第27話 コウモリ魔人を見つけられるか?

小さな頃に伯父さんから聞いた絵本の事を思い出していた。


その絵本は主人公のイラストと「僕を探してね」というセリフが載っていて、絵本の見開き全体に主人公に似た人が200人近く紛れてる絵の中から主人公のイラストがどこにいるのかを探し出す、一種の間違い探しだった。


コウモリ魔人を探せ


そう言われてるような気がしてきた……気が遠くなりそう……


街の中にいる人は皆コウモリ魔人。

あっちもコウモリ魔人、こっちもコウモリ魔人、コウモリ魔人だらけの街中……そんな感じ


「こぉのぉまちのぉ住人じゅうにぃんはぁ、全員ぜぃんいんコォウモリィ魔人まじぃん変装へぇんそぉうしたぁようだぁ」

「とりあえずこのあたりにいるコウモリ魔人は全員レベル1なので全員この街の住人でしょうね」

雄一とラポーナさんが話してると美咲が確信を突いてきた。


「もしも本物のコウモリ魔人がレベル1に偽装出来たら、どうやって探そうか?」


……それ言われると誰も彼もが怪しく見えて、今ここにいるコウモリ魔人の中に本物がいるかもしれない……

そう考えると疑心暗鬼になってきた……


ラポーナさんは静かに口を開いた。

「……ここは強硬策で行きましょう!

山田さまは全方位に警戒して敵感知に集中してください!

一郎くんと山田さま以外の皆さんは敵襲に備える、

そして一郎くんは【アベル商店の掃除機】でコウモリ魔人を見つけ次第、魔力を吸って人間に戻してください!

その時に本物だった場合は一旦引いて様子を見ます」


「では開始してください!」

「はい!」


僕たちは作戦を開始した。


僕はセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機【アベル商店の掃除機】を呼び出しダイヤルを【魔】に合わせてスイッチを押す。


僕はコウモリ魔人にコードレス掃除機の吸引口を一番近くのコウモリ魔人に当てると

【アベル商店の掃除機】は唸りを上げて魔力を吸い込んだ。


ゴォオオオオオオッ!


1人2人3人5人7人10人15人20人30人50人……魔力吸引は加速していく……


おじいさん、おばあさん、こども、おにいさん、おねえさん、おじさん、おばさん……色々な人たちがコウモリ魔人から人間に戻った。


ふと気づくと、ラポーナさんは人間に戻った人たちに色々聞いているようだが、掃除機の音が大きくてここからは聞こえない。


ラポーナさんから後で話を聞くとして、僕は美咲の指示で魔力吸引をおこない、健太、雄一、アリーが僕の周りにいて周囲を警戒している。


……どのぐらいの時間がったのだろうか?


僕たちはおそらく街の住人全員をコウモリ魔人から人間に戻したけど、本物のコウモリ魔人はどこにもいなかった。


本物のコウモリ魔人はどこにいるのか?


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