第2章 第28話 秘密の地下道を見つける

このデラダイムという街にコウモリ魔人はいなかった……いや見つけられなかった。街の住人が全員コウモリ魔人に変装させられていたけど、本物がいる痕跡こんせきがまるでない。


「私はユゲノラ王国宮廷魔術師補佐ラポーナ=ブルノジーと申します。

今までこの街の住人の皆さんが変装させられてたコウモリの魔人を探しています。

何か情報は無いでしょうか?」

珍しく丁寧にラポーナさんが街の人に声を掛けると

「変装?私も街のみんなも……その、コウモリの魔人とかなんとかに変装してませんが??」

と不思議そうに答えた。


……街の人の人達は自分たちがコウモリ魔人に変装させられてることに気づかないように細工してあったのか……


僕はおそるおそる、その人に聞いてみた。

「僕が掃除機で皆さんの変装に使われた魔力を吸い取ったのですが……」

「ああ、あんた不思議な青い棒を振り回して踊ってたね、ありゃなんだい?」


……僕はこの街では、青い棒を振り回して踊る変人だった……


「この街で不思議な事がありませんでしたか?巨大な狼が群れを成していた……とか?」

健太が珍しく機転を利かせて、ド直球の質問を聞いた。


「ああ!それなら見た見た!2週間前くらいに!

街の外に今は使っていない地下道があるんだけど、その近くで見たよ……

その後、何もなかったから忘れていたけど……」

街の人はそういうと忙しいからと言って去っていき、僕らもお礼を言いいながら街の外へと向かった。




……2週間前……


僕たちがドミルガンを倒して10日後にカーフスタンに着いた時には、10日前にコウモリ魔人は魔狼を引き連れて出て行ったので、

ドミルガンが倒されたのと、ほぼ同時にコウモリ魔人はカーフスタンの魔狼を連れてデラダイムへ戻った……のか?


……一瞬で転送が出来る魔法か何かがあるのだろうか?……


カーフスタンからデラダイムまで5日、合わせて15日


街はずれの地下道に魔狼を見かけたのが2週間前


まとめると、コウモリ魔人はドミルガンが僕たちに倒されてからすぐにカーフスタンの魔狼を連れてデラダイムの地下道に来た、と推理できる


……謎は全て繋がった……




僕たちは地下道に魔狼が多く控えてると思って行動しようと心構えて馬車に乗り、門番に地下道の場所を聞いて馬車を地下道に向けた。


地下道は古くて壊れかけの遺跡の中にあったのでアッサリ見つかる。


あたりはとても静かだ。


わぁれが命じるぅ!わぁれら6ろぉくにぃんまぁわぁりにあぁかりぃをとぉもせぇ!」

雄一が僕たち全員に明かりをつけてくれたので、はぐれても全員明かりが確保できた。


健太を一番前に全員地下道に入っていく。


地下道は思ったより狭くて終点の扉にたどり着いた。

「一郎くんは【アベル商店の掃除機】を準備して、山田さまは扉の鍵を開けてください」

ラポーナさんに言われた通り、僕は両手に【アベル商店の掃除機】を持ってダイヤルを【魔】に回して、美咲が扉の鍵を開けるのを待った。


カチャ


解錠され美咲がそーっと扉を開ける。

流石は盗賊で音一つ立てずに扉を開け切った。


そこで僕たちは驚きの人物に出会う。

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