第3章 第49話 章終 日常を生きる人々
この街ソードアを支配してる貴族であるプロスウェーア男爵の協力の元、
僕たちが旅支度をしてる間にラポーナさんが代表して男爵と話をしている。
「男爵、ご協力に感謝いたします」
「宮廷魔術師補佐さま、この度は大変お世話になりました。
皆さまがいなければ、いまだにヒミッゾに支配されていたことでしょう……
何とお礼を言ったら良いかわかりません」
男爵は頭を下げて言った。
「我々は王命を受けて魔王討伐をしています。
必ずやこの街同様、この国の魔族を殲滅し魔王からこの国を救って見せましょう」
ラポーナさんは凛々しい表情で言った。
ラポーナさんは男爵と社交辞令の挨拶を終え、僕らが待ってる馬車に乗りこんだ。
「街を渡り歩いて物資の流通を支えてる行商人が噂をしていました」
「噂ですか?」
美咲がラポーナさんの話に喰いついた。
「リビュードラという竜人族の集落の様子がおかしい……との事です」
「ほうほう……続けてください」
「あと、どこかの街道にて腕試しの竜人族が出没するという噂を聞きました」
「へぇ~弁慶みたい」
「というわけで、リビュードラを目指しながら腕試しの竜人族から話を聞いてみましょう」
「その竜人族に会えるかどうかわからないけど、リビュードラへ出発!」
美咲は御者の席に座り手綱を持って「雄一、出発するよー」と雄一を
雄一が御者の席に座り、馬車は出発する。
街の様子はヒミッゾに魅了されていた時と変わらない。
通りには市場が開いており、いろいろな屋台が並んでる。
今夜のおかずの材料をを肉屋で求める主婦、きれいな装飾品を眺める若い女性3人組、酒を飲みながらフラフラ歩いてるおじさん、ボーっとこっちを見つめる子供たち……
……ソードアで役人に連れまわされていた時に僕たちが見た変わらない日常……もしかしたら、ヒミッゾが支配しようが貴族が支配しようが人々の暮らしは変わらないのかもしれない……でも、魔族にはドミルガンのように自分に逆らうものは皆殺しのような残虐なヤツはいるし、この世界で捕らえられてるクラスメイトを救って元の世界に戻らなくてはいけない……
アリーが僕の隣にやってきた。
「イチルウ、どうしましたか?」
「いやさ、今回は負けたなぁ~と思ってさ」
「そんなことないよ、街の人たちはイチルウに救われたよ」
「アリ―、ありがとう……」
「わたしね、思うんだ……誰かに操られて生きるのと自分の意思があって生きるの……どっちがいいのかな?
……自分で決めて生きていくって大切なことだと、この街に来て思ったんだよ」
「アリ―……」
……日常を生きる人々にも、自分で決めなきゃいけないことはあるし、出来ないこと、やりたくない事はしない選択肢もある……それが意思のある人間……なのかな?
アリーと話しながら街の人々を見ながら人生について考えた。
……あの硬い殻とドリルをどうにかしなきゃ……魔力を持たない魔人、モシスウント……今までと違う戦い方を考えなきゃ……次は勝って西村を取り戻さなくちゃいけない……
……次こそモシスウントを倒し、クラスメイトを救う……
雄一と美咲は御者として馬車をけん引している、ラポーナさんは本を読んでる、ミレイは僕の膝で寝ている、健太は寝てる、僕とアリーは話している……
この7人でどこかに捕らわれてるクラスメイトとこの世界の人々を、魔王とその配下から救い出して元の世界に戻る。
僕はアリ―と話しながらまた決意を固めた。
第3章 【ヒミッゾのルール】 終わり
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