第4章 第57話 リビュードラ

山のふもとの街、マノカナクリフを離れて5日。


「あともう少しでリビュードラに着くのじゃ」

ルナの案内でリビュードラの近くまで来た。


「では今回の作戦ではミレイさんが鍵を握ります」

「まかせるにゃ、あのドリル野郎にハナちゃん押し付けてスイッチを押せばいいにゃ」


ミレイの素早い身のこなしを見込んでモシスウントのドリルの回転力をハンディクリーナーで吸い込む役に選んだ。


この5日間でミレイにハナちゃんこと白いハンディクリーナーのダイヤルを【回】に入れて、使い方をレクチャーして使いこなせるようになった。


「では、リビュードラ侵攻作戦を説明します」

凛々しいラポーナさんの言葉に僕たちは緊張しながら聞いた。


「まず、相手は魔法が効かず硬い殻に覆われてるので、不意打ちは意味がありませんから正面突破の速攻、電撃作戦と行きましょう。」

「私と中村さまは支援魔法で佐藤さまと山田さまの筋力や速度を上げます」

雄一がうなずく。


「一郎くんは甲殻人クラストマンとモシスウントの硬さを吸い取ってください」

僕も頷く。


「佐藤さまと山田さまは甲殻人クラストマンと対峙しながらモシスウントへの道を切り開いてください」

「オッケー任せといて」

美咲は言葉で返答して健太は沈黙をもって答える。


「アリーさんは遠くから硬さを吸い取った甲殻人クラストマンを矢で射ってください」

アリ―も頷いた。


「そしてミレイさんは先ほど説明した通り甲殻人クラストマンの攻撃を避けながら、モシスウントの背後に回りドリルの回転をハナちゃんで吸い取ってください。」

「わかったにゃ」

ハナちゃんとは白いハンディクリーナーの事である。


「最後にルナさん……ルナさんはモシスウントへ直接向かい、一郎くんがモシスウントの硬さを吸い取ってミレイさんが回転を吸い取ったら、ルナさんがトドメを刺して倒してください」

「了解じゃ」

ルナが答える


作戦は決まったので前へ歩き始めると、ラポーナさんに耳元で話しかけられる。


それは奥の手であった。





少しばかり歩くとリビュードラの街の入口に全身鎧のような赤っぽいピンク色の殻をまとった奴ら、甲殻人クラストマンが2人見張りに立っていた。


結構、距離が遠いけど僕はセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機のダイヤルを【硬】に回してスイッチを入れる。

「【アベル商店の掃除機】よ!甲殻人クラストマンのの硬さを吸い込め!」

と叫んだ。


ゴォオオオオオオッ!


セルリアンブルーに輝くコードレス掃除機が轟音を鳴り響かせて甲殻人クラストマンの硬さを吸い込んだ。


健太と美咲が突撃して一撃必殺で甲殻人クラストマンを葬り去る。


甲殻人クラストマンの殻の硬さはどんな鋭利な刃物でも1トンの衝撃を喰らっても傷一つ付くことはなく、その耐久性は前の戦いで学習済みだ。


だから、僕の【アベル商店の掃除機】が甲殻人クラストマンの殻の硬さを吸い取れば、甲殻人クラストマンは無防備同然だった。


「この前は全然敵わなかったけど、今回はイケそうだな」

健太が言うと僕たちはリビュードラの街に侵入した。

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