第3章 第45話 キャッチボール

この白い丸いものはなんだろうか?


「その白くて丸いものはボールと言いますの……それを3人でキャッチボールしてくださるかしら?」


「……キャッチ……ボール?」


「ボールをげてボールをる……それを繰り返すだけ」


「ボールを投げる?捕る?」


「捕れそうなボールを捕れなかったり、捕れそうにない暴投をしたら失格よ。

はい、頑張ってね」


僕たちは初めてボールを見た……いや、キャッチボールの記憶を封印されてボールがなんだかわからないし投げ方も捕り方もわからなくなった。


「さあ、第2ゲーム キャッチボールを始めなさい!」


健太は床に置いてあったボールをとり僕に投げた。

ボールは素直に来たので僕はたどたどしく両手で捕る。


……どうやら健太と僕は小さい頃に野球をやっていたので体が覚えてるらしい……


僕はボールをしばらく見つめてから美咲にボールを投げた。

美咲はボールを見つめてアタフタしながらなんとか捕ろうとして手を出しても捕れなかったが、ボールを抱きしめるように胸と肘の間にキャッチしてピンチをしのいだ。


「なんとか捕れた!」

「あら珍しい捕り方ね、ふふふ、そのまま続けなさいね」

美咲の咄嗟とっさに出た言葉にヒミッゾも答える。


しかし、美咲が健太にボールを投げたその時に……床に投げつけてしまいどう考えても捕る予定の健太が捕れる投球ではなかった。


弾み続けるボールのそばに固まって動けなくなった美咲がいた。


「ふふふ、アッサリ終わってつまらないわね……」

そう言う割にはヒミッゾは楽しそうに見えた。


「さあ、ラストゲームはインディアンポーカーよ」

座ってるイスの肘置きに肘をついて手で斜めになった顔を抑えながら言った。


「まずは椅子にお座りなさい」

僕と健太は丸いテーブルに対面で置いてる2つの椅子にそれぞれ座った。


「ディーラー!部屋に入ってきなさい」

ヒミッゾがそう言うと部屋の扉が開き、黒いシルクハット、紫のアイマスク、赤い蝶ネクタイ、焦げ茶色のシャツ、襟に黄金の飾りがついた黒いタキシードを着た男がトランプをシャッフルしながら入ってきた。


「ディーラー!トランプを十分をシャッフルしたら1枚づつ配りなさい」

ディーラーはトランプをシャッフルしながら歩いて来て、トランプを僕と健太の目の前の机の前に1枚づつ置いた。


「知ってるかもしれないけど、ルールを説明するわ」

「自分に配られたカードを見ないまま、頭のひたいで表向きにしてカードの数値を相手に見せて、自分のカードが相手より上か下かを当てるゲームよ」

「勝負は一回のみ、ただし、両方とも当てたり両方ともはずしたらもう一勝負ひとしょうぶになるわ」


ヒミッゾは意地の悪い微笑ほほえみを浮かべながらゲームの説明を終えると


「ラストゲーム始め!」


インディアンポーカー開始を宣言をした。


僕と健太はお互いに右手で自分のトランプをひたいに持ってきて表に返してかかげた。


僕から見える健太の額にあるトランプの数字は【ハートの8】

健太の表情が全く変わらないので、僕の数値を予測することは出来ないが、僕の額にあるトランプの数値が【ハートの8】より【上】か【下】か?

答えを出さないといけない……


「ディーラーがコインを……金貨と銀貨を相手から見えないように机の下で手に持ってます。

今見えてる相手のトランプの数値より自分の方が【上】なら金貨、【下】なら銀貨を、相手に見えないように取りなさい。

そして両方が選び終わったら、相手から見えないように机の下からわたくしに見せなさい」


さて、【上】か【下】か……どっちを選ぼうか、金貨と銀貨を迷いながら見ている……

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