第3章 第47話 動く

健太の直球の質問が部屋の中に緊張で張り詰めた。


「この……わたくしが……ザルド・ダークネス様を……裏切るような事を……言うと思うか?!」

ヒミッゾは顔を真っ赤にしながら激怒した。


健太は頭をポリポリいて僕の方を向いた。


「いやぁ……一郎ゴメン、失敗したわー……」

健太が軽く謝ってきたので

「まあ、しょーがないよ、違う手段で探そう……」

僕も健太にあわせて簡単にあきらめた。


ヒミッゾの顔が今度は真っ青になり、


「小僧ぉおおお!!何故動ける?!」


僕は動けない訳ではなく、をしてた。


「ハンディ掃除機で【アブソリュート・ルール】で僕に掛けた【ルール】を吸い取りました。

健太が【魔王ザルド・ダークネス】の居場所を聞き出すまで固まったフリをして我慢してたんだけど……ヒミッゾは忠誠心が高いんですね……」


僕があおると、ヒミッゾは真っ青な顔を真っ赤にして【アブソリュート・ルール】使おうとした……

「ぐぬぬぬ……では、また新しく【ルール】を書き込んで差し上げますわ!【アブソリュート・ルー……」


ヒミッゾが何かを言ってる途中で僕は指をパチンと鳴らして

「スイッチオン」と言った。


館の外からゴォオオオオオオッ!と言う轟音が鳴り響いた。


「もう全てが遅い。ヒミッゾ、あなたは終わりだ」


パリーンッ!


窓をぶち破ってセルリアンブルーに輝くコードレス掃除機が飛んできて僕の手に収まる。


「なんで……なんでなの?

何故【アブソリュート・ルール・ミュージアム】のルールを破って掃除機がこの部屋に入ってきたの???」


「この館の庭の茂みに【アベル商店の掃除機】のダイヤルを【掟】に回しておいてこの館のルールである【アブソリュート・ルール・ミュージアム】を吸い込む準備をして隠しておいたんです。

……あとはスイッチを入れるだけでこの館の【ルール】を吸引できる状態でした。

そして、今、【アブソリュート・ルール・ミュージアム】の【ルール】は吸引されて無効となりましたのです」


「ぐぬぬぬ……」

ヒミッゾは怒りのあまり言葉が出なくなったけど、僕は間髪入れずに【アベル商店の掃除機】のダイヤルを【技】に回してスイッチを入れてヒミッゾに掃除機の吸引口を向ける。


「【アベル商店の掃除機】よ、ヒミッゾの【アブソリュート・ルール】吸い込め!」


ゴォオオオオオオッ!


「きゃー!」


ヒミッゾの悲鳴ひめいと共にヒミッゾのスキル【アブソリュート・ルール】を吸引した。


「さあヒミッゾ!あなたは既に悪魔である以外何もできないただの魔族です!

大人しく降伏して【魔王ザルド・ダークネス】の事を話すのです!」

ずっと固まっていたラポーナさんは解放され、ヒミッゾに降伏勧告をする。


「クッ!」


ヒミッゾはドアを開けて廊下に逃げた。


僕はアリ―のもとに駆け付けた。


「大丈夫?」

「少し怖かった……イチルウも固まるんだもん……」

「ごめん……固まる演技を頑張ったけど、結局、何もわからないけどみんな無事で良かった……」

「ふふふ、演技下手だった。よく騙せたね」

「うん、ヒミッゾの目は節穴だね」

僕とアリーはお互いに顔を見合わせて笑った。


「一郎くん!ヒミッゾを追いかけますよ!早く!」

ラポーナさんにかされて、僕はラポーナさんに続いて廊下に出た。



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