第2章 第23話 カーフスタンの現状を知る

実はドミルガンの拠点だったカーフスタンは魔物が消え、平和な街に戻っていた。


カーフスタンの役所に到着した僕たちは、この街を支配してる貴族であるレイストス男爵に会うと、すぐにドミルガンが住んでいた館でメイドとして働いていた少女を呼び出してくれて事情を聞くことが出来た。


……魔王四天王の拠点の館に人間のメイドが働いている……まあ、異世界だから別にいいのか……


僕が余計なことを考えていると、少女は話を終えていた。話を聞きそびれたがラポーナさんが話を要約して少女に確認してくれたので内容は大体わかった。


要するに10日前にコウモリの顔をした魔人がやってきて魔物を集めて連れ去っていったそうだ。

それ以来、魔族の気配もないので普通に魔物が来る以前の平和な街に戻ったらしい。


「……ただ、奇妙な服を着ていた人が監禁されていて、その人は連れ去られました」

魔王四天王のメイドだった少女が言うと美咲が絵を描いて少女に尋ねた。

「もしかして、こういう服を着てたの?」


美咲が描いたのは僕の学校の制服だった。


僕たち4人は召喚されてラポーナさんに連れられた中庭での会話の後すぐにこの世界の服に着替えたので、懐かしさで少し心に込み上げるものがあった。


「はい、その服です」

少女がそう言い、僕たち4人は「おおぉ!」と驚いた反応をすると、ラポーナさんが僕たちの反応をかき消すように言い放った。

「わかりました」

「この件に関しましては魔王討伐の王命を受けた宮廷魔術師補佐である、このラポーナが調査しますので、男爵様はこの街のあらゆる場所への立ち入りの許可を願います」

それを聞いた男爵は何の迷いもなく、羊皮紙に一筆書いてラポーナさんに渡した。


……もう、本当にラポーナさんが宮廷魔術師補佐に思えてきた。


それはさておき、僕たちはまず最初にドミルガンの館……元館を調査する。

館は壊れてる箇所があって、それを修理してる以外は綺麗な館であった。


……僕が掃除をしたらピカピカになるけどなぁ

僕が余計なことを考えながら歩いていると、


「人間が作った館をこんなに綺麗に使うなんて……ドミルガンって人間が好きなのか?」

と、健太が口を開くと

わぁれがぁ魔族まぁぞくぅならぁ……まぁちぃを火の海にぃするぅ、わははははは……」

雄一がえる

「王都を襲撃して、王様の頭を鷲掴みにして、街を魔狼に襲わせて……同じ人間、いや、同じ魔族とは思えないわね」

美咲が思い出しながら言う。


「ドミルガン様は逆らう人間は殺して、従う人間は丁重に扱ってくれました……」

この館でメイドをしていた少女が僕たちを案内しながら僕たちに教えてくれた。


「3ケ月くらい前の話です。ドミルガン様と魔狼が、突然やってきて突然我ら人間を襲いました。」

少女の重い口調の話は続いた。


「この屋敷を元々所有していた豪商がドミルガン様に逆らったため一族全員殺されましたが、我々この屋敷で働いていた者たちはドミルガン様に服従したため全員生き残りました」

「私もその一人です」


最後の言葉にはドミルガンに逆らい殺されてしまった元主人の豪商に対する罪悪感があるのかもしれない……僕はそう感じてしまった。


少女の足が止まり

「ここが不思議な服を着ていた女性が監禁されていた部屋です」


僕たちは、もしかしたらこの世界に飛ばされてきたクラスメートが監禁されていたかもしれない部屋に辿たどり着いた。

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