第2章 第22話 ドミルガンの元拠点に到着

僕たちはドミルガンの拠点であるカーフスタンに到着した。


この世界では街には必ず街を囲む城壁並みのがあり、元にいた世界では囲郭都市いかくとしと言うらしくて立派な城壁と城門を構えていた。


「我はユゲノラ王国宮廷魔術師補佐のラポーナ=ブルノジーである!

我らは王命により魔王討伐の為に王国内を巡回している!

このたびはこのカーフスタンの調査のためにやってきた!

我らを街に招き入れよ!」


ラポーナさんがまたもや宮廷魔術師補佐と自分の役職を盛って門番に名乗り上げてから、王家の紋章を見せる。


「はっ!宮廷魔術師補佐さまと御一行さま!ようこそカーフスタンへ!どうぞお入りください!」


門番の許可を得た僕たちが乗ってる馬車が城門を潜り抜け街の中へ入ると、そこは魔王四天王の拠点とは思えないほど普通の街だった。


「まずはこの街を支配していた貴族、レイストス男爵に事情を聞きましょう」

ラポーナさんは業務上の人前だと凛々しくて頼もしい。


ただ、ラポーナさんは、僕と二人きり、もしくはアリーを含めた三人だけだと僕に甘えたり馴れ馴れしく迫ってくる。

一人で考え事をする時間やアリーとの二人の時間を大切にしたい僕にとっては、ラポーナさんが迫ってくることに少しウンザリしていた……


僕がボーっと考え事をしてるとアリーが気を使って話しかけてくれた。

「イチルウ?大丈夫?」

アリーはなまってるのか?ワザとなのか?僕【高橋一郎】の事を【イチルウ】と呼ぶ。


「いや、この街はドミルガンの拠点だって聞いてたから身構えていたけど、普通の人間の街だから驚いてね……」

僕が馬車の後ろの方で街並みを見ながら呟くと、何故かラポーナさんが話しかけてきた。

「一郎君、そこを含めて男爵に事情を聞いてから対策を考えましょう。」

と言った後、キリッと凛々しかった顔が一転して少しだらしがない顔になって


「そのあとは一郎くんがお疲れのようなので寝ましょう!私が添い寝してもいいですし、膝枕でもいいですね……」


それを聞いてたアリーの美しい顔が赤く染まり怒りに満ち「それは私がやります!ラポーナさんは仕事をしててください!」と怒鳴りつけたので、アリーとラポーナさんは言い争いを始めた。


ヤラーマムの森の守護者たるエルフたちはみんな美しく、アリーも例外なく美しいエルフの美少女で、怒った表情もこれまた可愛かった。


そうこうしているうちに僕たちを乗せた馬車はこの街の役所に到着した。


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