概要
化学室を根城にする金髪ギャルに巻き込まれ、東京から来た少年は学園に潜む謎を調査研究するためのモルモットにされてしまった。次々起こる事件はまるでオカルトや心霊現象。それでも彼女の手にかかれば、すべては理性で解決可能な科学現象。だが問題が一つ――少年は科学音痴のド文系だった!
一つ謎を解くたびに、理想の青春が遠ざかる。果たして少年は、キラキラ輝く普通の日常を手に入れることができるのか?
地方都市の高校を舞台に、金髪ギャルの科学部員と巻き込まれた文系少年が、次々起こる難事件・珍事件を解決する、学園青春科学ミステリー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!化学とは人を幸せにするものだと信じる、稀代の青春小説
少しだけ警告しておく。
実際に男子校に通っていた人は、この青春のまぶしさに目がくらんで体調を崩すかもしれない。また、恋愛の機微に通じていない人も、自分がほんとうに鈍感なんだと思い知らされるだろう。
実際問題、モテるけど性格に難があるやつとか、モテないやつの身勝手ぶりにリアリティがありすぎて、キャラクター小説にはない嫌な感じが少しだけ、スパイス程度にある。でも、遠くから見る青春はきれいでも、近づけばこんなもんなのだ。
だが、そこも含めて、稀代の理系青春小説だ。
化学が人を幸せにすると信じているという意味でも、そう言える。深刻な問題を扱っているにもかかわらず、下村智恵理の書いた小説の中で一番…続きを読む - ★★★ Excellent!!!文系理系のバディ・コンプレックス
理系とミステリの相性は良い。
その専門性は勿論のこと。
やはり知識によるキャラクターの格差は、事象における認識のズレを産み出し、文章で伝わる読者に対して、トリックや伏線の重要な部分を担うことが出来る。
理系最強か! などとやっかみ、「あぁ、すうがk・・・・・・算数や理科のどこまで遡れば、理系としてやり直せただろうか」とお嘆きのアナタ。
分かる分かりますよ完全に文系に属する私のような方々は、理系に憧れにも似たコンプレックスを抱えること幾星霜。
ただ、こちらの作品。
理系と文系のバディものとして、非常に優れたバランスを保っておいでだ。
また、一話ごとの文字数と展開の区切りも良…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「ひっ……」「ひぃぃ……」
この小説の魅力は、主人公チャールズこと安井良くんの個性に大いに牽引されています。それを追っていくだけでもとっても楽しいです。お勧めです。
東京の中高一貫男子校に四年間通っていたチャールズは両親の離婚に伴い、地方都市、前崎市の前崎中央高等学校に転入します。そこで、信じられないような運命的な出会いをした金髪理系ギャルの木暮珠理さんに、とことん怯えるチャールズ。何といっても男子校出身、女の子には免疫がないのです。お父さんから前崎には東京の百倍のギャルとヤンキーがいるぞと脅されていたこともありました。
チャールズがどれだけ怯えていたかというと、珠理さんに遭遇するたびに「ひっ……」と引きつった声を…続きを読む