オークション

「ゴンベエ!何その匂い!」

皆の気配がする宿に行くとすごい剣幕のレベッカに言われた。


「じゃから言ったじゃろ、詫びの代わりに座敷でもてなされたと」


「それにしては匂い付きすぎ!

前に森の中の匂い付けてきた時と同じよ!

さあ勘弁して話しなさい」


「それは後で話すとしよう」

来客がきたようじゃ。


「あなたがゴンベエ殿か?」


「そうじゃよ」


「私はオークションの主催をしている者だ。

あなた相当に強いとAランク冒険者に聞いた。

どうか護衛として依頼を受けてくれないか?」


「護衛のぅ。ところでマドワキ殿はどうしたんじゃ?」


「彼は大事な商品を紛失したことに責任を感じ、昨日自殺をしてしまった。

まあ無理もない、あの商品はこの国の王族からも買い取りたいと言っていたからな」

どうやらマドワキは殺されたようだ。


「それは大変じゃな、オークションは大丈夫なのかのぅ?」


「心配はいらない、私にとっては痛手だが秘蔵の品を出すことにしたからな。

王族と満足するだろう。

それで護衛はしてくれるか?」


「遠慮しておこう、ワシらは迷宮都市を目指しておってのぅ。

なるべく早く出発したいんじゃ」


「白金貨十枚でどうだ?」


「やります!ゴンベエ様やりましょう!

ほらこれからあの子達の面倒も見ないといけないし、お金は沢山必要になります!」

アルサ殿が話に入ってきた。


「金は充分にあるんじゃが」


「ほら主催者様も困ってますし、それに何にもなかったらただで白金貨十枚ですよ!

ねぇゴンベエ様お願い最近金儲けできなかったからうずうずするんです!

お願い」

アルサ殿がワシの手を自分の胸に当てて言う。


「はぁ、皆に許可を得たらって言う前に言ってしまったか。

主催者殿きっと護衛することになるからよろしく頼む」


「こちらこそよろしく頼む」

予想通り皆の許可とってきた。


そして五日後オークションの前日になった。


「俺はこの都市で一番強い男、ランドルフだ。明日皆は俺の指示のもと動いてもらう。

まずAランク冒険者であるのバリール殿には王族の周りを警護してほしい。

そしてBランクはその他を巡回しながら警護だ。

そしてCランク以下は会場の外を警備をしてもらう。

そしてゴンベエ!

お前は何もするな、Aランク冒険者のバリール殿が強いと言ってきたから一応主催者が声をかけただけだ。

だが俺は信じられない!

その証拠にギルド証はFランクを示している!」


「バリールよせ」

皆は気づかないが少し殺気だっていた。


「ランドルフの指示に従おう。

一つ提案なんじゃが、邪魔にならないようにワシはオークションに参加しているのはどうかのぅ?」


「勝手にしろ!それぞれ集まりどこを守るか話し合ってくれ。

終わったら俺に声をかけろ」

皆はそれぞれ集まり話し合っているようだ。


「兄貴」


「気にするなバリール。

元々乗り気じゃなかったんじゃちょうどいい。皆とオークションを楽しむとするかのぅ」


「そうでやすか、お楽しみを」


「ああ」


そして当日になり皆を連れてオークション会場に来た。


「すまないなゴンベエ殿」


「構わんよ、それで皆も入れてもらえるのかのぅ?」


「もちろんだ、もし何かあった時はよろしく頼む」


「もちろんじゃ」


オークション会場の椅子は階段のようになっているようだ、それにより後ろの席に座っている者が舞台を見えるようになっている。


ワシらは主催者に用意された席に座った。


「ゴンベエは何か買うのかしら?」


「さあのぅ、リリスが欲しい物があったら言うんじゃよ」


「人でもいいのかしら」


「ワシを試すな」


「ごめんなさい、もしかしたらわたしもこの場所で売られていたのかなって考えたらね」

少し悲しい顔をするリリスの頭を撫でる。


ワシはオークションにでるおなご達を助ける気はない、盗賊などの悪党に捕まっているのは助けるがこれは違う。

姫さんは特例だがこれはこの世界のルールの一つ。

それに買われていくおなごはそれなりに幸せになるから。


「安心せい、彼女達は大丈夫じゃよ」


「ゴンベエが言うならそうなのね」


「それではオークションを始めます!」

舞台の上に誰かが立ち開始を伝えたを


「その前に最初にご紹介いたしましょう!

この国の王太子!

カルミナル・バル・イグラシア様です」

金色の髪と金色の目をした男が立ち上がり皆に手を振った。


「それではオークションの開幕です!」

舞台がいろいろな光で照らされた。

オークションは順調に進んだ。


皆はというとレベッカ飽きて寝ている、リリスは美しい髪飾りなどの装飾品を落札していた。

アルサ殿はたまに参加しているが、全部他の人に落札された。

フィーライヌは魔道書を何冊か落札していた。

アルミール殿は可愛らしい装飾品を落札していた。


ちなみにあの子達はクレアと共に宿で待っていてもらっている。


「さて次の商品が最大の目玉!

ドラゴンが守っていたと言われる伝説の秘酒!

ドラゴセル!

白金貨百枚からどうぞ!」


「白金貨千枚」

先ほど紹介された王太子が手を挙げて言った。


「白金貨二千枚」

ワシが手を挙げて言った。

会場がざわめきたち、会場の人達がワシを見てきた。


「白金貨二千五百枚」


「白金貨四千枚」


「白金貨四千枚百枚」


「白金貨五千枚」


「どうやら白金貨五千枚で落札だ!」

王太子は悔しがっていたが、落札する必要があるので仕方がない。


オークション会場にある競り取った物とお金を交換する場所に案内された。


「ゴンベエ殿!何をしてくれるんだ!

あれは王族に売る予定だった商品だぞ!」

そこには主催者がいて怒り心頭というところだ。


「すまんのぅ、じゃが買わないと大変な事になったんじゃよ」

そう言った瞬間に部屋の扉が勢いよく開かれ、王太子とその護衛が入ってきた。


「貴様!王族に刃向かったな!

不敬罪として貴様を捕縛する!」

王太子の前に出てきて一人の護衛が言った。


「不敬罪のぅ、本当にそう思うかのぅ?」


「不敬罪に決まっている!殿下の落札の邪魔をするなど!

今すぐに首を斬ってやる!」

腰から剣を抜きワシに向けた。


「お待ちください」


「邪魔する気か!女といえど容赦しないぞ!」


「私はアルミール・サンジェシカです!

サンジェシカ領主の娘です」

アルミール殿が跪いて言う。


「サンジェシカ、貴族か。

貴族が何故その者を庇う」


「この方は私の恩人なのです!

一度この方の話を聞いてください!」


「よかろう。サンジェシカの領主とは知り合いだ。

だが大したわけもなく余の邪魔をしたのなら不敬罪で今すぐに死んでもらう」

王太子が前に出て宣言した。


「ゴンベエ」「ゴンベエ大丈夫よね?」


「大丈夫じゃよレベッカにリリス。

それでは説明させてもらうかの。


ワシが王太子殿と競り合いこの酒を落札したのはこの酒が毒薬じゃからだ」


「毒薬?」


「そんなバカな!これは私が出品した物だぞ!毒薬ではない!

王太子様これはこの男の戯言です!」


「そうじゃのぅ、お主が先日あった主催者じゃったらな。

妖術『真』」

ワシの目が少し光、主催者の正体が明らかになる。


黒髪を後ろに流すようにしていたのが青色の髪になり、目も黒から白に変わった。

そして肌は褐色に変わる。


「アルバト族!」


「くそ!ならば直接殺すまで!」


「させんよ」

ワシは素早く動き懐から出した扇子で首を叩き気絶させた。


「これが理由じゃよ」


「な、お前いつの間にそこにいた」

護衛はどうやら一瞬で動いたのでびっくりしてしまったらしい。


「そこは気にすることはないのぅ。

それで不敬罪なのかの?」


「いやまずはその酒を調べさせてくれ」


「構わん」

王太子の部下の検査により毒薬であることが分かった。

そして尋問により王族の誰かが死ねばいいと考えたらしい。

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